(左から)浅野忠信、黒木華、吉永小百合、山田洋次監督

 山田洋次監督の最新作で松竹120周年記念映画『母と暮せば』の舞台となる長崎で、クライマックスシーンの撮影が行われ、山田監督、出演者の吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信ほかが映画への思いを語った。

 本作は、4月26日にクランクインし、7月初頭からの長崎での撮影を経て、7月中旬にクランクアップ予定。ラストシーンは、長崎のカトリック教会の中を、母親の伸子(吉永)と息子の浩二(二宮)が寄り添って歩くというもの。教会内には親しかった人々や懐かしい人々が勢ぞろいするという。

 山田監督は「この長崎の地で主な出演者がみんな集まってクランクアップを迎えることができ、こういった形で作品を終えることができると思うと『よーい、はい』と言うのもなんだか胸がいっぱいになります」と万感の思いを語った。

 吉永は「山田監督のこの映画に懸ける熱い思いや情熱に応えられているかどうか、今はとても不安です」と明かし、山田監督作品へ初参加となった二宮は「初めはとても緊張していたのですが、一日一日が非常にぜいたくな時間だと感じることができました。長崎という地で終えられて良かったなと思っています」と振り返った。

 また、吉永は息子役の二宮について「初めて会ったその日から、もしかしたら本当に自分の息子なんじゃないかと思うぐらい寄り添って演じることができました。かわいい息子です。こういう息子に出会えて本当に良かった」と語った。二宮も「とても優しいお母さんで、撮影が終わるたびに『良かったね、良かったね』と言ってくださって。一度、撮影が終わった時に抱きしめてくださいました」と感激した様子だった。

 二人の演技を見守った山田監督は「本当にお二人は甘いんですよね。とても甘いトローンとした味が漂っていてね」と振り返り、「いいキャスティングができたというよりは、この二人じゃなかったら成り立っていないんじゃないかと。時として恋人に見えるような甘さ、そういう独特の母子の物語に成り得ているのではないかと思います」と手応えを語った。

 映画は12月12日から全国ロードショー。