ピクサー・スタジオで行われた『インサイド・ヘッド』のプレゼンテーション (C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』が間もなく公開になる前に、サンフランシスコのピクサー・スタジオ内で、本作の製作過程を紹介するプレゼンテーションが行われた。

その他の写真

プレゼンテーションには、アソシエイト・プロデューサーのマーク・ニールセンと、プロダクション・マネージャーのデイナ・マレーが登場した。2009年の秋、監督はアイデアを基にジョン・ラセターや共同監督のロニー・デル・カルメンらとブレインストーミングを行い、脚本の開発に取り掛かる。この段階ではまだ規模も小さく、翌年になってもこの映画に関わっている人間は8人しかいなかった。2011年、総勢14人になったスタッフたちは、映画のストーリーをさらに完成に近い形で検討するために”ストーリー・リール”を作り始めた。「ストーリー・アーティストの仕事は、脚本のアイディアをビジュアルに翻訳することです。彼らはスケッチをシーンごとに並べて、そのシーンがどういうふうになるかがざっとわかるようにします」(ニールセン)。イラストは編集されて仮の音楽と声が入れられる。こうしてできた仮の映画が“ストーリー・リール”だ。ニールセンは「『インサイド・ヘッド』は10回、映画の完全バージョンをスクリーニングしたんです。毎回、バラバラにして、書き直し、ストーリーボードをやり直し、編集し直したんです。映画の出来に満足するまでね」と振り返る。

彼らはストーリー部門が試行錯誤して完成させたシーンを基に、アニメーションを描き、シーンを作り上げていく。しかし、彼らはストーリーを良くするためであれば、苦労して作り上げたアニメーションをあっさりと捨てて、より完璧なカットをゼロから作り上げるだろう。このプレゼンテーションでは映画のはじまりから完成までが説明されたが、実際には、ピクサーの映画作りは“直線的”には進まない。彼らは、映画の完成直前まで考え、アイデアを出し合い、問題点を見つけたら素直に失敗を認めて、最初からやり直す。

ドクター監督はそんな過程を”映画を発見する”と表現する。「僕らにとって、映画に取り組むことは、“映画を発見する”ということなんだ。それは天国から降りてくるわけじゃないし、突然、脳の中に現れるわけでもない。小さな断片みたいなものをたどっていっても、時々、うまくいかなくて、また戻ってやり直さないといけなかったりする。だから、まさにそれは“発見”ということなんだよ」。

ドクター監督とスタッフは、どこかに必ずある完璧なストーリーを見つけ出すために5年をかけた。『インサイド・ヘッド』は彼らが何度も何度も試行錯誤をして見つけ出した“最高のストーリー”になっているはずだ。

『インサイド・ヘッド』
7月18日(土)全国ロードショー