宝塚歌劇雪組公演『ドン・カルロス』 撮影:三上富之 宝塚歌劇雪組公演『ドン・カルロス』 撮影:三上富之

3月9日、兵庫・宝塚大劇場にて、雪組公演『ドン・カルロス』『Shining Rhythm!』が開幕。前者はシラー作『スペインの太子 ドン・カルロス』を元にしたミュージカルで、ヴェルディのオペラ『ドン・カルロ』としても有名な作品だが、宝塚歌劇ならではの、華やかでドラマチックな物語として描かれている。音月桂のトップ就任から1年が過ぎ、充実期ともいえる、安定した雪組のパワーを見せつけた。

宝塚歌劇雪組公演『ドン・カルロス』のチケット情報

『ドン・カルロス』は、強大な権力を持っていた16世紀後半のスペインが舞台。王子ドン・カルロスを中心に、王妃・イサベルとカルロスとの関係を誤解する父・フェリペ二世、ネーデルラントの新教徒弾圧に心を痛めるポーザ公爵、カルロスへの愛を心に秘める女官レオノールなど、それぞれに悩みや葛藤を抱える登場人物たちが、人間的に成長していく姿をじっくりと描き出している。

絵画に描かれた人物たちが動き出したかのように始まるオープニング。中世の貴族を意識した豪華なコスチュームは、見た目だけでも楽しめるほど華やか。民衆から愛されるドン・カルロスを演じる音月は、親しみやすい音月のイメージがそのままに反映されているようだ。フェリペ二世(未涼亜希)との確執や、ポーザ公爵(早霧せいな)との友情で時には揺らぎながらも、相手を思いやり、まっすぐな強い信念をストレートに見せていく。相手役の舞羽美海は、身分違いの恋のために自らの想いを抑えるレオノールを、情感たっぷりに演じている。ポーザ公爵に扮する男役2番手・早霧せいなや、父王・フェリペ二世に扮する未涼亜希も、それぞれの苦悩や孤独を滲ませながら丁寧に演じており、早霧、未涼の振り幅の広い演技力が雪組を支えていることが、改めて感じられる。

ショー『Shining Rhythm!』は、光、影、ときめき、喜び、情熱、躍動をイメージしたレビュー。プロローグからグイグイと観客を惹きこむパワフルなステージで、観ていると前のめりになるほどにアップテンポなナンバーが連続する。クラブでの妖しくセクシーなナンバー、アンダルシアでの決闘のシーン、情熱的なデュエットダンス、ロックで斬新な黒燕尾のダンスと、大人っぽくもエネルギッシュに展開。団体で見せるシーンが多く、組としての力を感じ取れるショーに仕上がっている。

兵庫・宝塚大劇場公演は4月9日(月)まで上演。その後、4月27日(金)から5月27日(日)まで、東京宝塚大劇場にて上演。こちらのチケットの一般発売は3月18日(日)より。チケットぴあでは一般発売に先駆けて、インターネット先行抽選(プレリザーブ)を3月14日(水)11時まで受付中。

取材・文:黒石悦子