ふとんクリーナーに参入した理由について語る東芝アプライアンスのホームアプライアンス事業本部 HA第三事業部の千田一臣事業部長

「最後発に近いタイミングでの参入となったが、2015年度には160万台と、クリーナー市場の24%になると見込まれているふとんクリーナー市場を無視するわけにはいかない。今後も安定的な需要が期待でき、われわれとしてもチャレンジしていきたい。ザ・ふとんクリーナーを作ろう、ということで新商品を開発した」。

東芝アプライアンスのホームアプライアンス事業本部 HA第三事業部の千田一臣事業部長は、後発ながらもふとんクリーナーに参入した理由を語った。もともと、サイクロンクリーナーなどにふとん専用のアタッチメントを同梱していたが、ユーザーが欲しかったのは、ふとん専用のアタッチメントではなく、ふとん専用のクリーナーだった。ニーズをやや読み誤ったことを素直に認めながらも、新規参入に自信を示す。

●「重そう」と思っているユーザーに「軽量」を訴求

9月1日に発売となる新商品の「TORNEO V cordless(トルネオ ヴイ コードレス」VC-CLF1は、オープン価格だが税別実売で5万円前後を想定している。新商品はリチウムイオン電池搭載のコードレスにしたことで、サッと手軽に取り出してふとん掃除ができる。フル充電で最長約25分の運転ができる。

また、本体質量を1.8キログラムの軽量にすることで、ふとんクリーナーに「重そう」「使いにくそう」といったイメージを抱いているユーザーに訴求する。

●幅210mmのワイドな吸い込み口

さらに、吸い込み口を幅210mmの広さにすることで、ふとん1枚を掃除するのにかかる時間を約80秒とした。ヘッド部には「ワイドビーター」というふとんをたたく振動板を設置。毎分約1600回の高速振動によって、ダニの死がいやフンをたたき出しながら吸い込む。

なお、ふとんクリーナーを開発するにあたって東芝では、ダニを除去するのではなく、ダニのエサとなるふとん表面に付着した人の皮脂やフケ、ダニの死がいやフンを吸い取くことをコンセプトに据えた。というのも、ダニの好む環境は気温20~30度・湿度65%以上の一定の環境で、エアコンなどの普及でむしろ生存しやすい環境になっていて、ふとんの中ではダニは一年中生息しているからだ。

UVや温風を当てても、ダニはふとんの中に逃げ込むので、殺すことは難しいという。それならば、ダニのエサを取り除くことでダニを減らし、その死がいやフンを取り除いた方がいいという発想である。

●振動とヘッド部のローラーで軽い走行性を実現

ヘッド部の左右には大きな車輪と、手前に2つのローラーが搭載されている。これとワイドビーターの振動が、ヘッド部とふとんの吸い付きを抑えて、強いたたき出しを軽い走行性を実現させている。

実際に発表会では、他社製のふとんクリーナーとの比較デモも実施して、軽さや持ち運びやすさ、吸い付かない走行性などの違いが体感できた。ふとんクリーナーで後れをとった東芝の巻き返しが注目される。