『インサイド・ヘッド』(C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ディズニー/ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』が公開され、人気を博している。本作の主人公は11歳の少女の頭の中にいる“感情”たちだが、本作のスタッフはどのような試行錯誤を経て、キャラクターをデザインしたのだろうか? サンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオで取材を行った。

その他の画像/キャラクターの作り方

ピート・ドクター監督が本作のアイデアを思いつき、共同監督のロニー・デル・カルメンと映画の基本的なコンセプトを発見するためにアイデアを出し合い、2年後にアート部門のメンバーが合流した。彼らは全員でデザイン画を描き、アイデアを出し合った。例えば、映画の中に登場するヨロコビは、子供たちが大好きな“星”のイメージがデザインの基になった。キャラクター・アート・ディレクターのアルバート・ロザーノは「アメリカでは宿題が上手にできると、先生たちが宿題に星のシールを貼ってくれることがあるんです。そうすると子どもたちはハッピーになります」という。他にも花火やシャンパンの泡、女優のオードリー・ヘップバーンもヨロコビのデザインの源泉になったという。

通常であれば、こうしてキャラクターが完成し、アニメーションが作られるが、ロザーノは「人間の皮膚で出来たものにはしたくなかった。エネルギーとか、粒子とか、泡とかだと感じられるような何かで出来ているようにしたかった」と振り返る。このイメージを実際にアニメーションで描くため、スタッフは試行錯誤を繰り返した。彼らは3か月超の時間を投じて、ヨロコビの輪郭の粒子の表現、光の粒が落ちるタイミング、彼女自身が発する青い光の加減を探っていった。「問題を解決したことで、素晴らしかったことは、他のキャラクターがどういう見た目になるべきかも考えられたことです。これは彼らの皮膚で、これが材料だ、ということがわかったんです」。

取材してわかったことは、ピクサーのメンバーはどの部門に所属していても、全員が観客に“ストーリー”を伝えることに注力している、ということだ。スクリーンでヨロコビが元気に駆け回っているその姿、表面の様子、動きは彼らが時間をかけて調べて、想像して、試しては失敗した末に出来上がったものだが、多くの観客はそんなことは意識せず、物語に夢中になっている。しかし、それこそがピクサーの全スタッフが時間と情熱をかけて目指す映画づくりだ。

『インサイド・ヘッド』
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