2016年3月期の第1四半期決算を発表した日立製作所の執行役副社長の中村豊明CFO

日立製作所は7月29日、2016年3月期の第1四半期決算を発表した。IFRS(国際財務報告基準)での発表となっており、売上収益は2兆3140億円(前年同期比107%)、税引前利益(EBIT)は1464億円(123%)だった。1ドル=102円だった為替レートが、今年は121円の円安にふれた影響が大きかったものの、海外売上高が構成比で52%、四半期ベースで初めて50%を突破した。売上収益では、情報・通信システムをはじめ7部門が前年同期比を上回り、第1四半期で過去最高になった。

●「インバウンドは上期で昨年の売上高超える」

白物家電事業などが含まれる生活・エコシステムは、売上収益が2036億円(同106%)、EBITは84億円(5億円減)と増収減益だった。アジアを中心とする海外での空調事業が売上をけん引した。だが、洗濯機など海外で生産している商品の国内販売において円安が足かせになった。 

国内の家電市場について執行役副社長の中村豊明CFOは「台数ベースで前々年よりはよくなってきた。1Qの価格下落はそれほど強くなかったと思うが、(1Qで生じた)家電量販店にある在庫が2Qに影響が出ないか(心配で)、天候がこれだけ暑くなるのはありがたい」と、消費増税の反動減から抜け出したとの認識を示した。

好調な商品分野としては、冷蔵庫が売れているという。インバウンド(訪日外国人)需要も好調だ。「(インバウンド関連商品は)上半期だけで昨年の売上高を超えるぐらいの伸びだ。高額な商品を買っていただけるので値引き率が低い。この分野には今後も力を入れていきたいし、炊飯器や理美容機器などの開発を強化していきたい」と語った。