右から、齊藤陽介プロデューサー、堀井雄二氏、すぎやまこういち氏、伊能昭夫編集長

スクウェア・エニックスは7月28日、「ドラゴンクエスト」シリーズで約3年振りの本編新作「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」を発表した。注目を集めていた対応するゲーム機は、PS4と3DS。発売日と価格は未定。

PCやWii、3DSなどマルチプラットフォームで展開するオンラインRPG「ドラゴンクエストX」以来、約3年振りの本編新作となる「XI」。かねてから、本編初のPS4でのリリースが噂されていたが、発表会でスクリーンに映し出されたのは、PS4と3DS。ソニーと任天堂、据え置き機と携帯機、メーカーもタイプも異なるハードで展開するという発表に会場からはどよめきが起きた。

「ドラクエ」の生みの親であるゲームデザイナーの堀井雄二氏は、「来年で30周年を迎えるドラゴンクエストだが、『誰でも、いつでも、どこでも』楽しめるRPGという軸はシリーズを通して貫いてきた。現在のライフスタイルに合わせて、より多くの人にゲームをプレイしてもらうために、『XI』はハードの選択肢を増やした」と、マルチプラットフォームで展開する意図を語った。

PS4版では、圧倒的な描写性能を生かし、街やフィールドだけでなく、キャラクターの造形や動きの細部まで表現。ドラクエならではのシンプルなデザインはそのままに、リアリティのある世界観をつくりあげた。

早くもお披露目されたプレイ画面では、街中やフィールドを主人公が歩き回る姿を公開。風に揺れる髪や炎の繊細な描写は、まさにPS4ならでは。梯子や階段を登るとシームレスに上層と下層を行き来できるのも、本作の特徴だ。

フィールド画面では、オープンワールドゲームのような広大な世界がプレーヤーの前に広がる。ジャンプコマンドを用意し、フィールド内で段差を乗り越えたり、高所に登ったりできるなど、行動の自由度も高い。フィールドには敵モンスターの姿が確認でき、触れることで戦闘に突入するシンボルエンカウント方式を採用する。

3DS版は、上画面に3Dグラフィック、下画面にドット画を配置するデュアル構成。映像美で魅せるPS4版とはまったく異なる、3DSの特性を存分に生かしたプレイスタイルを提案する。スライドパッドで操作すると3D、十字ボタンで操作すると2Dが、メイン画面として機能する。

戦闘画面も3D仕様と2D仕様の2パターンを切り替えることが可能。往年のドラクエに親しんだ世代でも、違和感なく新作をプレイすることができる。イベントシーンでは、3Dと2Dの画面が連動する演出も用意している。

もちろん、キャラクターデザインはシリーズ第一作目から数多くの印象的なキャラクターを世に生み出してきた鳥山明氏が担当する。発表会にはスケジュールの都合で参加できなかったが、集英社・Vジャンプ編集部の伊能昭夫編集長が鳥山氏から預かったメッセージを代読した。

「昔ながらのシンプルなデザインのモンスターが、ハイクオリティな描写で動き回っているのは違和感を感じます……」と会場を笑わせつつ、「長年、ドラクエに携わってきた年寄りと若い制作スタッフのコンビネーションで、良い作品をつくりたい」とコメントを披露した。

シリーズのすべての音楽を担当するすぎやまこういち氏は、「30年前の『ドラゴンクエストI』を開発していたときと同じ気持ちで頑張りたい」と、新作に対する熱意をアピール。「ただ、『XI』で新しく作曲してほしい曲の一覧を堀井さんにもらって腰を抜かした。全部新曲。命がある間につくれるかどうか」と、苦笑交じりに不安を漏らした。

発売日は未定だが、ドラクエXIを担当する齊藤陽介プロデューサーは「30周年の間には出したい」とコメント。2016年中の発売を目指す。また、発表会終了間際には、「任天堂で開発中の次世代ゲーム機『NX』での発売も検討しています!」とサプライズ発表。メモリアルイヤーとなる来年は、ドラクエシリーズにとって新たな挑戦の一年になりそうだ。