全州の昼ごはん

『チョ・チョムネ南門ピスンデ』のスンデクッパ7000ウォン。豚のモツもたっぷり入っている

週末の朝、全州のシンボルである豊南門(プンナンムン)の近くにある南部市場を歩くと、一軒の店の前で長い行列ができている。

ピスンデという新鮮な豚の腸詰の入ったクッパの専門店『チョ・チョムネ南門ピスンデ』だ。

豚の腸詰は韓国ではごくありふれた食材だが、この店のそれは鮮度がちがう。

レバーペーストのような独特の香りがあるが、好みで副菜のニラやキムチ、コショウなどを加えると食べやすくなる。腸詰の中のペーストがとけたスープもコクがあり、最後の一滴までスプーンですくってしまう。

『チョ・チョムネ南門ピスンデ』の店先で火にかけられる大量のスンデクッパも見もの

全羅北道全州市完山区殿洞3街2-198
24時間営業 無休 TEL:063-232-5006

全州の夕ごはん

『家族会館』のビビンパ12000ウォン

全州といえば、ビビンパを思い出す人が多いだろう。

店名に“全州”を冠したソウルの有名店が石焼きビビンパをヒットさせて以来、全州ビビンパ=石焼きというイメージが定着してしまったが、本当の全州ビビンパは石焼きではない。

それを確認する意味でも、一度本場で食べてみるといいだろう。

『家族会館(カジョクフェグァン)』は全国から観光バスが乗りつけるような大箱の超有名店だが、味はしっかりしているので、全羅北道の食の豊かさと本物の全州ビビンパの姿を確かめるにはぴったりだ。

卵の黄身を中心に、ホウレンソウ、ニンジン、キュウリ、シイタケ、エノキダケ、ズッキーニ、ギンナン、松の実、キキョウの根など20種もの野菜が盛り付けられている。

“宝石箱”という形容は全州ビビンパに対して使うべきだろう。食べるのを忘れ、しばし撮影に夢中になってしまうが、真鍮の器で熱せられて出てくるので、アツアツのままいただこう。

韓国の人はコチュジャンをたっぷりかけて、これでもかとばかりにかき混ぜて食べるが、韓国通の日本人は、「せっかくの豊かな食材ひとつひとつをしっかり味わうために、半分だけ混ぜることをおすすめする」と言っていた。

主菜のビビンパ以外に、副菜がさらに10品ほど添えられる。さすが全羅北道、さすが全州と唸らされた。

『家族会館』に限らず、全州の名物料理の店にはたいていある母酒(モジュ)は、桂皮やナツメ、ショウガなどの韓方(漢方)を煮詰めたもの。酒とはいってもアルコールはほとんどないので、お茶代わりにいただける

全羅北道全州市完山区中央洞3街80番地2F
11:30~21:00 無休 TEL:063-284-2884

取材協力:全羅北道 国際協力課 国際交流係