【本】佐野眞一を知る、佐野眞一の30冊

『あんぽん 孫正義伝』が話題の佐野眞一。彼の書くノンフィクションは綿密な取材と書きたいことに妥協しない作家性のたまもの。佐野眞一を知るための30冊をテーマ別に紹介します。
















佐野眞一が今年1月に刊行した『あんぽん 孫正義伝』、かなり好評である。 
実売推定にして、すでに10万部を突破、もはやベストセラーだ。この『あんぽん 孫正義伝』、とにもかくにも面白い! 
佐野は本書の一文において「これまで出された、孫正義のどの本よりも100倍面白い」と述べている。
たしかに、そうである。そして、過去の佐野眞一作品と比較しても、これまたかなり面白いと言えよう。
ノンフィクションが面白いノンフィクションになる、それもかなり面白くなるにはいくつかのセオリーがある。

①まずは、素材が面白いこと。
②続いて筆者が、素材を綿密に調べ、吟味して、素材の魅力をさらに引き出すこと
③書き手が素材に気遣い気遅れせず、素材を大胆に扱うこと。

『あんぽん 孫正義伝』は、まず素材がいい。孫正義が文句なしの素材であることは言わずもがなだが、それにもまして孫ファミリーの面々がねぇ……すごい、なんともすごいんだな。
あの孫正義を凌いじゃう、キョーレツキャラ揃いなのである。まさに魑魅魍魎の一族。奇人変人野人オールスターファミリーだ。
胡散臭くて、濃くて、そしてパワフル。世界の珍味ぜーんぶ、揃えました! ってな感じなのである。
そして、佐野眞一。佐野はねぇ……佐野は調べるのよ、とにかく佐野は調べる。
ゲットした素材がいかに美味しい素材であっても、佐野はすぐ食いつかない。まずは徹底してチェックするのだ。
つまりは裏取り。裏取りを重ねに重ね、本当に使える素材かどうかをチェツクする。そしてついには隠し味までをも引き出してしまう。
『あんぽん』での、佐野眞一もそうである。
孫家の歴史を調べるためなら、孫一族が暮らすの地元・九州への突撃訪問は当たり前。アポなしも日常茶飯事だ。
さらには孫家のルーツ・韓国へも軽やかにすっ飛ぶ。しかも頻繁に、しかも都市部はおろか、ど田舎までも繰り出していく。
孫正義をして「佐野先生、ほんとよく調べますね」と言わしめるほど、佐野の調査力は圧巻である。
さらに、佐野がすごいのは、素材、つまりは取材対象者に容赦しないことである。
孫正義とそのファミリーに何度も何時間も取材協力させてるにも関わらず、容赦しない。
書きたいことは書く、叩くときは叩く。原稿を読んで怒りくるった人間がいようが、てんで気にしない。
美味しい素材の獲得と綿密な裏取り、仕上げに容赦なき味付け。
これらのハーモニーがあってこそ、面白いと言われるノンフィクションが出来上がりるのである。

さて、佐野眞一の話に戻そう。
編集者、業界紙記者を経てフリーのノンフィクション作家となった彼だが、80年代に刊行した本は5、6冊。
ノンフィクション作家人生は、当初はかなり苦労したようである。しかしながら、90年代に入ると徐々にブレイク。
1995年『巨怪伝』、1997年には『旅する巨人─宮本常一と渋沢敬三』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞、そして翌1998年の『カリスマ』、さらには2000年『東電OL殺人事件』でその名を不動のものとした。
以後今日まで、トップランナーとして、幅広いテーマで骨太なノンフィクションを発表し続けている。
共著を入れるとゆうに50冊を超える佐野作品ではあるが、中でもおススメ本をテーマ別に紹介していこう。


企業人および企業ノンフィクション 

『カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」』


『カリスマ』……『あんぽん』が好きなら、こちらもどーぞ。中内功&ダイエーの栄枯盛衰の歴史をなんと20年以上も! 恐ろしいことに20年以上もかけて追っかけまくったシロモノである。20年も追っかけられた中内さん、同情するッス。根負けするよね……。だからディテール濃し、そして細かし。単行本もいいけど、文庫は増補改訂版です。こちらのほうを読むほうがいいね、やっぱし。

 

 

『巨怪伝 正力松太郎と影武者たちの一世紀』


『巨怪伝』……佐野のターゲットとなったのは、読売新聞、日本テレビ、巨人軍を創設し君臨した、マスメディアの巨人であり怪人・正力松太郎。正力松太郎とは、あの濃ゆいナベツネこと渡邉恒雄の100倍濃ーくした人です。高度経済成長、渇くことなかった大衆の富と娯楽に対する欲望を煽って煽って、吸って吸って吸いまくり、己の欲望を満たしまくった男のどろ~っとした一代記。

 

いま人気の動画

     

人気記事ランキング