問題定義・告発ノンフィクション
 

『クラッシュ  風景が倒れる、人が砕ける』


阪神淡路大震災、JR西日本脱線転覆事故、雪印乳業食中毒事件、東海村JCO臨界など、今も記憶に新しい6つの大事件を、佐野がこれまた徹底調査を重ねつつ、被害者たちの悲惨ないま、責任と義務を回避する大企業、官庁のあきれた姿勢を追いかけながら、戦後日本がたどり着いてしまった、無責任、機能不全の社会風土を厳しく問う。とにもかくにも佐野ったら、日本の劣化を、日本人の劣化を憂う本が、けっこーあるのです。

  

『劇薬時評 テレビで読み解くニッポンの了見』


こちらも現代日本を憂いて憂いて憂いまくってる本。ただし、軽味です。タイトル通どおり、テレビを観て感じた現代日本の病巣を憂い、その元凶である人々(政治家から芸能人)をメッタ斬りにした一冊。とはいえ、佐野は優しく、品があるので、この手に必要なエキセントリックさ、下品さ、底意地の悪さは感じません。軽い気持ちで向き合えばいい本だな、と。

 
 

『昭和の終わりと黄昏ニッポン』


バブル、天皇崩御、「昭和」から「平成」へ。このときをもって、日本のすべてが変わった。戦後高度経済成長、バブルに象徴される昭和夢物語は終焉し、貧困格差、自殺天国、医療崩壊に代表される平成残酷物語がはじまったのである。日本人は昭和という時代に何を得て、何を失ってしまったのか? 佐野が探ります。 

 

 














『沖縄  だれにも書かれたくなかった戦後史  上』
『沖縄  だれにも書かれたくなかった戦後史  下』 

戦後、虐げられた沖縄が、いかに苦難の道を辿り、いかにして這い上がってきたかを、沖縄の表社会からアンダーグラウンドまで探って掘り下げて描くとともに、沖縄の犠牲を強いて繁栄を遂げた日本社会が、いま加速的に劣化しつつある現状をも映し出す。単行本は650ページの力作だったが、文庫本では、東日本大震災後の沖縄の今日を視野に入れつつ大幅加筆。その加筆量、なんと原稿200枚! やり過ぎだぜ、佐野!すごいぜ、佐野! というワケで、文庫で読んだほうがいいです。 

『津波と原発』


佐野は逮捕も覚悟で、大津波に直撃された三陸の街と、立ち入り禁止の福島第一原発20キロ圏内をくまなく歩き回ったという。そこで感じたことは、高度経済成長が生んだ豊かさ、技術への疑問、無責任で無慈悲な政治家、企業に対する怒り、そして自らの足で伝えることを放棄した新聞・テレビらメディアに対するに不信感であった。震災を通して見えたもうひとつの悲劇、それは日本社会の精神的崩壊であると、佐野は強く訴える。ここでも、日本社会に対する佐野の怒りと憂いがダダモレしてます。
 

『3.11を越えて― 言葉に何ができるのか』(和合亮一との共著)


これから刊行される最新作。『津波と原発』で福島第一原発から1キロ圏にまで迫り、被災地の現状と企業と政治のあきれ果てた姿勢を糾弾した佐野眞一と、地元福島で被災しながらも、twitterで詩篇『詩の礫』で発表し続けてきた詩人・和合亮一。ともに言葉を駆使して、震災と向き合うふたりが語り合う。