(写真左より)レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)、中村憲剛(同) (C)J.LEAGUE (写真左より)レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)、中村憲剛(同) (C)J.LEAGUE

明暗を分けたのは新戦力だった。2月16日『FUJI XEROX SUPER CUP 2019』川崎フロンターレ×浦和レッズの話である。

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両チームとも主要メンバーを並べつつ、ふたりの新加入選手を配置。川崎Fは前線にレアンドロ・ダミアン、右SBにマギーニョ、浦和は2トップの一角に杉本健勇、アンカーにエヴェルトンを配した。

試合は静かな始まりとなった。川崎Fは柏木陽介、浦和は中村憲剛を徹底マークし、互いにボールを前に運べない中、徐々に川崎Fのペースに。川崎Fが高い位置からの激しいプレッシングで、流れを引き寄せたのだ。前線から守備のスイッチを入れたのが、ダミアンである。2012年『ロンドン五輪』得点王は献身的なチェイシングを繰り返した。ダミアンだけではない。ボールを失うとすぐさま“攻”から“守”へ転じる。強い強度かつ囲み込んで数的有利を作り出し、ボールを回収する。そしてボールを握り、チャンスを作り、ゴールを脅かし続ける――川崎Fらしいゲームを披露したのだった。

ダミアンは川崎Fらしからぬゴールも奪った。52分、家長昭博からのアーリークロスをヘディングで競り、中村へ。中村へのパスは収まらなかったが、浦和守備陣のクリアが乱れ、ボールは再びダミアンの元にこぼれた。ブラジル人ストライカーは千載一遇のチャンスを逃さず、左足を振り抜き、ゴールを奪った。その後も浦和のシュートを前半の1本のみに押さえ込んだ川崎Fが1-0で『FUJI XEROX SUPER CUP』初優勝を手繰り寄せた。

試合後、鬼木達監督は「今日は一発勝負に勝つということを目的にすると、キャンプの時から言ってきた。この先、この勝利の意味は非常に大きいと思っている」と語った。さらに開幕に向けて「点を取り切ることにフォーカスしないといけない。何かあると1点、引き分けになってしまう。勝ち切ることが大事」と反省の弁も忘れなかった。

一方の浦和・オズワルド・オリヴェイラ監督は「我々のまとまりが欠けていたのは、青木(拓矢)と武藤(雄樹)が不在だったから。新しい選手がフィットするまで時間は必要」と敗戦の弁を述べた。ただ策士・オリヴェイラのこと。このまま無策で開幕を迎えることはないだろう。事実、監督は「必ず改善できると信じている」とキッパリ。

川崎Fは2月23日(土)・『明治安田生命J1リーグ』開幕戦・FC東京戦、3月1日(金)・第2節・鹿島アントラーズ戦と続けてホーム・等々力陸上競技場で戦う。浦和レッズは開幕戦でベガルタ仙台とのアウェイ戦に臨み、3月2日(土)に北海道コンサドーレ札幌を埼玉スタジアム2002で迎え撃つ。

開幕前に明暗を分けた両軍だが、今季もV戦線の中心に川崎Fと浦和がいることは確かだろう。