『インサイド・ヘッド』(C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

公開中のディズニー/ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』の舞台は11歳の少女ライリーの“頭の中”だ。そこには様々な施設があり、キャラクターは彼女の頭の中を舞台に大冒険を繰り広げる。しかし、本作の舞台をデザインしたプロダクションデザイナーのラルフ・エグルストンは「この映画の舞台は、頭の中ではない」と言い切る。その真意はどこにあるのだろうか?

ピクサーにおいてプロダクションデザイナーは何をするのだろうか? ある意味では、エグルストンの仕事も実写映画のプロダクションデザイナーと同様だ。「僕の仕事は、作品に関わっている全員と仕事をして、映画の全体像を作り出すことです。キャラクターやセット、照明、スペシャル・エフェクト、コスチューム、ヘアー など、映画のすべての面に少しずつ関わっています」。エグルストンの仕事は、スケッチを描くところから始まる。「僕らみんなでスケッチや絵を描いて、監督に見せます。たとえ監督が、僕らがやっていることを気に入ったとしても、時々ストーリーが変わって、デザインをもう一度やり直さないといけなくなったりします」。

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インタビューで興味深かったのは、複数の記者が“頭の中”について質問する度に、エグルストンが「この映画は、心の中が舞台であって、頭の中が舞台ではありません」と回答していたことだ。本作は主人公ライリーの頭の中が舞台だが、そこで描かれるのは、神経や電気信号の流れではなく、ひとりの女の子が環境の変化に戸惑いながら成長して、自身の中に芽生えた複雑な感情を受け入れていく物語だ。

本作のタイトルは『インサイド・ヘッド(頭の中)』だが、ピクサーのフィルムメイカーが描こうとしたのはヘッドではなく心だ。「僕は『ファインディング・ニモ』や『ウオーリー』もやりましたが、リーフ(礁)に行って、リーフを描くことが出来ましたし、ゴミ捨て場に行って、ゴミ捨て場を描くことも出来ました。でも、心がどう見えるかはわかりません。僕らは、観客がこの映画を観て『心の中はこういうふうに見えるんだ』と信じてくれることを願っています」。

人間の心の中はどんなふうになっているのだろうか? 生まれて、成長して、様々な経験をする中で心の中はどのように変化するのだろうか? ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』はあなたの頭ではなく、心の中の秘密を解き明かしてくれるはずだ。

『インサイド・ヘッド』
短編『南の島のラブソング』
公開中