また歯周病が悪影響を及ぼすのは、歯や歯ぐきだけではないのだそう。

菌が血流に乗って全身を駆けめぐることで、「アルツハイマー」「狭心症・脳梗塞」「動脈硬化」「糖尿病」などの原因になるのだとか。

さらにマウス実験では、なんと「太りやすくなる」という結果も! 

バランスの良い食生活と適度な運動を心がけているのに、歯周病のせいで肥満気味に……なんてことにならないためには、日々の念入りな歯磨きはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスの活用といったセルフケア、定期的な歯科検診が大切です。

体にやさしく歯周病に効果がある「ユーカリ抽出物」って!?

天野氏によると、今後は「抗菌・殺菌」「歯垢成熟抑制」効果を持つ食品によってもケアが可能になるといいます。そのひとつが、冒頭で紹介した「ユーカリ抽出物」。

成分を発見した、株式会社ロッテ 中央研究所の大澤 謙二さんによると、同抽出物に含まれる「マクロカルパールC」などの新成分には抗菌効果や歯垢形成素材効果があり、結果的に歯周病を防いでくれるのだとか。

抗菌効果があることで知られる緑茶より、はるかに効果が高いのだそう。どんな特徴があるのか、大澤さんに訊いてみました。

株式会社ロッテ 中央研究所の大澤 謙二さん。ユーカリ抽出物の発見までには数年を費やしたそう。

「ユーカリ抽出物の特徴のひとつは、効果は口腔内でだけ発揮され、お腹の中で“悪さ”をしないので、下痢などの全身症状が起こらないこと。実際、効果がある量の3倍を摂取するという実験も行いましたが、悪影響は確認されませんでした」

天然素材だけあって、体に優しいようです。口に含むとなると“味”も気になりますが……。

「歯周病に効果がある天然素材の成分というと、ハーブから採れる「チモール」があります。これは“ツーン”とした刺激があるのですが、ユーカリ抽出物は味が控えめです。植物なので多少の苦味はあるのですが、抽出方法を工夫することによって、食品に使用しても気にならない程度に抑えることが可能になりました」

現在、どんな商品に配合されるかは発表されていませんが、ガムやキャンディといった食品、マウスウォッシュなどケア製品で日常に取り入れられるときがきたら、セルフケアの心強い味方になってくれそうな成分です。

商品化が発表されるまでのあいだはセルフケアを習慣化させ、“歯と歯ぐきの健康を守る”という意識を高めていきたいものですね。