――最後に7月22日に発売された新譜『オルタナティヴ・タランチュラ』 の話を伺いたいんですけど。

猟牙:最後急にまともな質問がきたな(笑)。

――やっぱり今のBORNのスケジュールやリリース情報がわからないという人たちのために!まずは『オルタナティヴ・タランチュラ』 というタイトルにしようと思ったきっかけは。

猟牙:元々ずっと前から使いたかったんですよ、 「オルタナティヴ」と「タランチュラ」。

4,5年前から構想があったんですよ。 前に 『THE STALIN』 ってアルバムを出したんですけどあれも本当は「オルタナティヴ・スターリン」って名前になるはずだったんですよ、 だけど色々考えて『THE STALIN』になって。

結局オルタナティヴって「二者択一」「もうひとつの」みたいな意味なんで、 あとオルタナティヴミュージックってあるじゃないですか。それがいいなって。それに「毒」という言葉を使いたくて、でも普通に「ポイズン」だとカッコ悪いしなーと思って。 それで「タランチュラ」いいなぁ、 使いたいなぁ、と。

結局 「二者択一の毒」 、…正義も悪もどっちも毒だよ、 何を選んでも人生毒だよ、 その上でどう開き直って生きていくかみたいなのがその時俺よく考えてたことで。 だからそのタイトルがガッチリハマったんですよね。 ちょうどそういうことを歌いたいこともいっぱいあったので。

――以前は内面的なもの、個人的なことを歌ってる方が多い印象だったんです。たとえば『ケミカルロマンス』も世界情勢を歌ってはいるけど、だからこそ内面に閉じこもっていたような…。それが『THE STALIN』ラストの『BREAKTHROUGH』もこんな世界だからこそ…というスタンスになっていて、本作も結構その延長線上というか、社会派というわけではないけれど、外に向かっているように思えました。

猟牙:それこそ我々は今ライブ以外はWEBで発信をしてるわけで。 やっぱりTwitterとかメールでファンの子から色々と意見が来るんですよ。 例えば色んな悩み相談も来るじゃないですか。

――なるほど。

猟牙:で、たとえばライブハウスのマナーの問題の相談も来るわけです。 みんな色んな意見を、 その子なりの正義の意見をバンバンぶつけてくるんですよ。で、 その中で…人間みんなそんなもんだと思うんですけど、 みんな一方通行なこと言ってんなぁみたいな(笑)。

――どちらかが100%の被害者だと言えないケースも多いですしね。

猟牙:結局…見ようによっちゃみんなが悪だし、みんなが正義になるんですよね。そういうのも俺たまにTwitterで返したりしてるんですよ、 例えば 「友達に裏切られました」 とか 「本当に人を信用できなくて」 みたいなこと言ってるんですけど。 「じゃあ君は誰も裏切ってないと言えるのか?」と。だからみんな気付かないうちに毒だし、 気付かないうちに善だし。 自然とそういうことを考えることが多くなってきたというか。

そんな中で情勢的に原発の問題もあるじゃないですか。他にも俺は動物が大好きなんですけど、 でも俺牛丼食ってるなとか。 …結局ホント人間って身勝手だな、でもそれも説教として言いたいんじゃなくて、みんな一回自分が間違ってるとか正しいじゃなくて、色んな犠牲の上に成り立ってるんだよっていうことを何か言いたくなったんですよね。そうすれば普段のちょっとした日常でも、より思いやりあえるんじゃね?みたいな。

だから、ちょっと考えてみようと、 俺も普段から考えなきゃいけないことあるしそういうことをよくTwitterで発信してたのもあって 「こんなに俺思うことあるんだったらより音楽に乗せたいな」 と思ったんですよね。

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