チュートリアル 徳井義実 (よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
‘75年生まれ、京都府出身。幼稚園からの幼馴染みである福田充徳とともに、’98年にチュートリアルを結成。上方お笑い大賞新人賞をはじめ、多くの新人賞に輝いた後、’06年にM-1グランプリ優勝。ピンでの活動としては、俳優として数々のドラマに出演する一方、’06年のR-1ぐらんぷりで準優勝に輝いている。
■過去3年の戦績:2009年…出場せず
         2010年…準決勝
         2011年…出場せず

言わずと知れたM-1王者が、久々にR-1の決勝へ。もちろん、いまだかつてM-1とR-1をともに制した芸人はいないわけで、もし彼が優勝することになれば前人未踏のダブルクラウンとなる。そして彼は一度、その称号を手に入れかけたのでもある。大きな忘れ物を取りにきたのか、それとも“変態”がまたまたうっかり迷い込んでしまったのか。大きな期待を抱く周囲をよそに、あくまでも彼は淡々と決意を口にした。

――久しぶりの決勝進出というのはいかがですか?
徳井:ありがたいですよね、単純に。率直に「まだまだネタができるのか、楽しい思いができるのか」と思って嬉しいなあと。
――では、二冠を目指してという気負いはもちろんなく?
徳井:ないですないです(笑)。そんな大きなことを考えるタイプちゃいますし、M-1のことは抜きにして考えるくらいでないと、ピン芸人にも失礼に当たりますからね。
――ということでいうと、今回出場を決意したきっかけは何なんでしょう?
徳井:いや、さっきの話とも繋がってくるんですけどね。まず昨今、そもそもネタをする番組というのが減ってる状況があるんじゃないですか。そんな中でR-1というのは、もう純粋にネタだけをお客さんに見てもらえる番組でしょう。そこへ自分も参加させていただいて、楽しむことができたらええなと思ったんですよね。
――R-1の決勝進出が決まって、周囲からはどんな言葉をかけられました?
徳井:「ああ、さすがだね」と。
――おお。
徳井:いや、ウソですウソです(笑)。ほとんど、周囲からはとくに言われてないですよ。また僕自身「R-1の決勝へ行けた」って感じで報告とかするタイプちゃいますからね。僕がそうやって報告するの、想像できます?
――できないです(笑)。
徳井:でしょ(笑)。
――でも徳井さんの中で、かつて惜しくも優勝を逃したことのリベンジという思いはないんですか?
徳井:それは、ないと言ったらまたウソになりますよね。ここまできたからには。なんせ、2007年に決勝生かせてもらったときには、僕と優勝者とが同点だったんですから。
――あれはスゴイ戦いでした。
徳井:ね。それで結局、急きょ決戦投票をすることになって、僕が負けてしまったんですけど。そのときの相手が、唯一過去2回優勝しているなだぎ(武)さんで。
――見ている方はスリリングでした。
徳井:だからそういう意味でも、今回は願わくば! 最終決戦までなんとか残って、勝ちあがってきた友近を相手にして恨みを晴らしたいなと思ってるんです。
――ご本人はいらっしゃらないし、じゃっかん遠回しではありますが(笑)。ではライバルは、友近さんでしょうか。
徳井:いや、将棋の羽生名人です。
――(笑)。ちなみに、リベンジを果たした際に手に入る優勝500万円はどうしますか?
徳井:FXをやろうかと思ってるんですよ。
――投資をやると。なんだか急にリアルな話ですね(笑)。
徳井:いや、かねてからずっとやりたかったんですよね。ただFXって、聞いたところによるとまとまったお金でスタートとしないと儲からないらしいので、これまでできなかったんです。でも、これが賞金ではじめるんだったら、たとえ大損しても「もともとが賞金なんだし、しゃあないか」と思えるでしょ? まあ、あとは500万円をまるまるゴールドに換えるというのもアリかなと思うんですよ、手堅く。悩ましいところですけどねえ。