ドラマW『エンドロール~伝説の父~』に出演した中村獅童

第4回WOWOWシナリオ大賞の受賞作を映像化したドラマW『エンドロール~伝説の父~』が18日(日)にWOWOWで放映され る。そこで、本作で純朴な青年を演じ「今までに見たことのない自分が見られた」と語る中村獅童に話を聞いた。

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本作は、余命いくばくもない親友・尾崎明生(萩原聖人)と20年ぶりの再会を果たした売れない映画監督の橋本雄司(中村)が、入院中の明生のたっての願いで、自ら脚本を書き、主演も務める映画の製作に挑む姿を描いた人間ドラマ。『川の底からこんにちは』『ハラがコレなんで』の石井裕也監督が手がけた初のテレビドラマで、20年前の恋の思い出や故郷への想いを抱えながら映画製作に挑む雄司を中心に、人と人が触れあい、想いを伝えていこうとする瞬間を描いていく。

本作で中村が演じた雄司は、口数の少ない寡黙な男。それだけに中村は「説明セリフがまったくないので、自分の感情をストレートにぶつけていくしかない。変な計算をすることもなかったし、心の底から相手の言葉や状況を感じて演じないとセリフも出てこない。他の作品だと、役を作り込まないといけない場合もあるのですが、この役は“足していく”というよりも、自分の中の余計なものを“そぎ落としていく”作業が多かった」と振り返る。

本作を演出した石井監督は、独特の人間描写と会話の妙で観客を心地よく翻弄する新鋭だ。「撮影現場の静かでゆったりした感じが、(『硫黄島からの手紙』のクリント・)イーストウッド監督の現場と通じるものがあって。役者の心情を第一に考えてくれるし、役者を見ていてくれる。それだけ信頼されると、こちらも役になりきるしかないんです」。

そんな石井監督の下で、中村が演じた雄司はこれまで彼が演じた役柄とは印象の異なる役だ。「ここ数年の中でこの役は大きな出会いだし、またここから“新たな中村獅童”への道ができたらいいなと思います。もちろんこれまでどおり強い役や悪役も演じると思いますが、こういう純朴な男もどんどん演じていきたい。自分のイメージを守りたいとは思っていなくて、作品の人物になりきりたいという気持ちが強いんです。この作品で今まで見たことのない中村獅童が見られたし、まだまだ自分の内に秘めた感情もたくさん持っているつもりなので、これからも役柄を通して出していきたいですね」。

「映像を見た知人から、『雄司が中村獅童に見えなかった』と言われたんですが、俳優にとって本当にうれしい言葉ですよね」と笑顔を見せる中村。これまで数々の役を演じてきた中村だが、『エンドロール~伝説の父~』では、長年、彼を見続けてきた観客も知らない、俳優・中村獅童の“新たな一面”が楽しめそうだ。

第4回WOWOWシナリオ大賞受賞作
ドラマW『エンドロール~伝説の父~』
3月18日(日) 夜10:00 WOWOWプライム
3月25日(日) 午後4:15 ※再放送