(左から)工藤夕貴、二階堂ふみ、海老名香葉子

 映画『この国の空』のトークイベントが6日、東京都内で行われ、出演者の二階堂ふみ、工藤夕貴と戦争体験者の海老名香葉子が出席した。

 芥川賞作家・高井有一氏による同名小説を映画化したこの作品は、終戦間近の昭和20年の東京を舞台に、戦時下の激しい空襲と飢餓が迫る恐怖の中で懸命に生きる人々を描く人間ドラマ。戦場シーンを描かずにその時代を生きた庶民の生活に焦点を当てている。

 二階堂は「私が戦争を題材にした作品にかかわるなら、自分の身近な感覚に近いものがある作品だったらいいなと思っていました」と振り返り、海老名は「(二階堂が演じる)里子ちゃんが立派で、本当に力演という感じを受けました。こういう女優さんがいるんだなと感じました」と絶賛した。

 70年前、広島に原爆が投下されたこの日に行われたイベントで海老名は「悲惨で無残で言葉にならない、そんな時代でした。子どもたちや次の世代の人たちには二度と私のような思いをさせたくない。戦争の話を真正面から聞いてもらって、じかに知ってほしい。二度と戦争を起こさない。そう思って余命をそれに託しています」と語った。

 二階堂が劇中で話す東京弁についても「丸みを帯びてきれいにしゃべられていました」と褒めちぎり、二階堂は「沖縄出身なので東京弁は日本映画の作品でしか勉強できなくて。現場に入る前にその時代の映画を見て、女優さんの鼻濁音のまじった独特のしゃべりを研究しました」と明かした。

 映画は8月8日から全国ロードショー。