――さき子さんは最近まで中規模インディーズのヴィジュアル系バンドをおっかけていたそうですが。

さき子:たしかきっかけは最初は雑誌のインタビューを読んで気になって、検索したらメンバーのアメブロがおもしろくて。それで館山から都内に移っていたもあって、高田馬場AREAに通うようになり、対バンのバンドも聴くようになって…。

――なるほど。

めんま:私が中高生の頃って、私の周りだけかもしれませんが、バンドを好きなことを創作でアピールしようみたいな雰囲気があったと思うんです。コスプレしたりミニコミや二次創作したり。最近はそういうのをあまり見なくなったと思うんですが、今の若いバンギャルさんはどこで「バンドが好き」っていう気持ちを発散してるのかなあと。

――そういえばライブ会場でコスプレしてる人もずいぶん減りましたしねえ。

めんま:今のバンギャルが昔のバンギャルよりも熱が低いとは全然思わないんですが、湧き上がるリビドー的なものをどこにぶつけているのか気になります。

かえで:私は完全にTwitterです。いわゆる「ツイ廃」ですから(笑)。寝てる時と授業受けてる時以外はずっとツイッターで「きゃ――!好き!」ってなってます。昨日好きなバンドマンのバースデーライブに超気合入れて行ったんです。それでライブ終わった後も「今日の◯◯が~~だった!!」とかレポを書いて、それを読んで喜んでくれる人もいるし。

しほ子:私それができないんですよね。通ってるのがマイナーというのもあって、メンバーにリプするアカウントも分けてますし。周りに「メン被りがダメ」っていう人が多いので…。でも本当は同じメンバーのファン同士仲良くしたいけど、ダメな人はダメじゃないですか。

ウレぴあ編集部篠崎:すみません、「メン被り」ってなんですか?

――同じメンバーが好きな人同士というか「好きなメンバーが被ってる」状態のことです。アイドルでも「推し被り」とか言うじゃないですか。でも被り無理って人も、本当に私だけのものにしたいっていうわけでもないと思うんです。現実的に考えたら無理じゃないですか。

めんま:「被り(が無理)」っていう概念は昔はあまり聞かなかったですよね。私がメジャーバンドしか知らなかったのもあるかもしれませんが…。

――LUNA SEAなら「○○スレ(SLAVE)です」とかDirなら「◯◯虜です」とか、メンバーごとのファンで集まっている空気すらあったような…。だから正直30代の私自身は「被り無理」を実感したことがないのでわからないところもあります。

かえで:今私が通ってるバンドはそういう空気があるかもしれない。私ボーカルファンなんですけど、友達もボーカルのファンの人が一番多いです。自分が行けないライブのレポをしてくれたり、ツアー中のMCの流れとかも共有できるじゃないですか。「昨日はこういうこと言ってたけど今日はこんなこと言ってたんだ~」みたいな。

しほ子:私もそういうのが本当はしたいんですよ…。

――こればっかりはバンドのカラーや規模の問題ですからね。

しほ子:違うメンバーのファンとライブを観ていても、同じライブでもみてる方向が結構違うじゃないですか。だから同じメンバーのファン同士で共有したいっていうのはあります。

さき子:私はまったく逆のタイプのバンギャルでした。

――そういう人の意見も聞きたいんですよ。「メン被り無理」って言う人はどうしても批判されやすいじゃないですか。

さき子:そうなんですけど~。

めんま:実は私も、出待ちとかができる規模のマイナーバンドを追いかけていたころは、メン被りが無理だったので気持ちはよくわかります。

「メン被り=出待ちのライバル」だったんですよ。ただ「イヤだ」って気持ちを露骨に出したら、友達からは嫌われるだろうし、メンバーからは「めんどくさいファンだな」って思われるのがわかっていたので、ひた隠しにしていました。…隠しきれていたかどうかは怪しいですが…。

さき子:私もthe GazettEやNIGHTMAREあたりは別に全然かぶってるの大丈夫なんですけど、インディーズバンドに通ってた頃は自分の好きなメンバーのファンの友達は一人もいませんでした。さっきおふたりが話してたような、所謂メン被りしている人と好きなメンバーの話をしたい、共有したい、っていう感覚が当時わたしには全然わからなかったですね。

めんま:応援の仕方が違うというか、宗派の違い?その人を独占したいとか恋愛目線でジェラシーっていうわけでもなくて。そういう人もいるかもしれないけど。

――もう概念ですね。

めんま:多分宗派の問題です。ただ、さっきしほ子さんも言っていたように「メン被りイヤを露骨に出すと周りとギスギスするし、バンドにも迷惑がかかるので隠してるけど、実は苦手」っていう「隠れメン被り無理層」は結構いるんじゃないかという気もします。