多感な時期を送る君たちに観て欲しい!
『ノエイン もうひとりの君へ』

『ノエイン もうひとりの君へ』は、2005年から2006年に渡って放映されたSFテレビアニメ。重厚かつハードなSF設定と巧みなシナリオ展開でファンから今も強い支持を得ている作品であり、映像ソフトもDVD BOXとBD BOXでそれぞれリイシューされています。

本作の舞台となるのは、夏の北海道。残り少ない小学校生活を送るハルカとユウの前に、彼女たちが暮らす時空とは異なる世界から"竜騎兵"と呼ばれる謎の存在がやってきます。ハルカのことを執拗につけ狙う竜騎兵たち。実は、ハルカには未来の運命を左右するある特別な力があったのです。

竜騎兵たちの正体は一体何者なのか? そして、ハルカが持つ特別な力とは? 様々な謎を孕みつつ、物語は時間と時空を幾度となく飛び越え、とてつもなく大きなスケールで展開されていきます。

北海道を舞台にしながらも、敢えて物語の時間軸を冬ではなく夏に設定した美術も素晴らしい本作。青々とした緑が印象的な夏の北海道を描いた風景は、この時季にこそ楽しんでいただきたい。

特に、ドンヨリと仄暗い冬景色が、メロディーの高揚感に合わせて一気に緑豊かな夏の風景へと転換するオープニング映像の美しさは必見です!

劇中には、SFな専門用語や理論などが頻出し、やや複雑な世界観を有する作品ではありますが、根底にあるのは人間の営みを肯定的に描いたヒューマニズムであり、少年少女の主人公たちが自身の過去や未来と向き合い、強大な敵に力を合わせて戦いを挑むことで成長していく姿を描いた成長譚。

幅広い層の琴線に届く作品だと思いますが、特に、多感な時期を送る中高生に観てもらいたいアニメ作品です。全24話となかなかのボリュームを誇るアニメではありますが、今から毎日ちょっとずつ観れば、夏休みの終わりまでにはまだまだ十分間に合いますよ!