夏を舞台にした、こんなヒューマン・ドラマは如何ですか?
『あさっての方向。』

夏休みって、やっぱり特別なものだと思います。それは、その長い休暇を謳歌することができる子どもたちにとっては勿論のこと、かつて、子どもだった大人たちにとっても……。

『あさっての方向。』は、子どもと大人、それぞれが経験する特別な出来事を夏休みの情景の中で描いたエモーショナルな作品です。

物語の主役となるのは、小学生の五百川からだ(いおかわ からだ)と社会人の野上椒子(のがみしょうこ)というふたりのヒロイン。

女の娘と女性。子どもと大人。対照的なふたりは、不思議な石の力によって、からだちゃんは大人の身体に、椒子さんは子どもの姿に、それぞれの心と精神はそのままに身体が変化してしまいます。

からだちゃんの兄であり、椒子さんの元恋人である五百川尋(いおかわひろ)や彼女たちの周囲にいる登場人物も巻き込み、複雑に絡み合っていく登場人物たちの心情。

この物語の登場人物たちは、皆一様に、大切に思っている相手のことを思えば思うほど、その思いは届かずひたすらにすれ違いを続けてしまいます。

そうしたコミュニケーション不全的な描写は、時に観ていて息苦しさや痛烈な切なさを感じてしまう程ですが……しかし、それでも、登場人物たちの他者を思い遣るからこそ上手くいかない、そんな関係性を優しく見守るかのようなストーリーが本作の最大の見どころです。

ファンタジックな設定を活かしながら、秀逸なヒューマン・ドラマを描いたアニメ作品として、この夏、知って欲しい一本です。夏の情景を彩る劇伴も素晴らしいですよ!

ちなみに、本作の原作漫画はアニメ本編と設定やキャラクター描写に大きな違いがあり、原作はもっとグッと大人向きな内容となっています。こちらの漫画版も、夏の描写が印象的ですので、大人の皆さんの夏休みにオススメしたいと思います。

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