一番簡単にできる予防法は着圧ソックス着用

長時間同じ姿勢で働いたり、家事をしたりする女性は多いはず。つまり、普通に暮らしていても、私たち女性が隠れ下肢静脈瘤を引き起こす可能性はあります。では、どうすれば隠れ下肢静脈瘤の対策を行えるのでしょうか。

「患者さんには着圧ソックスを継続的に履くことをおすすめしています。調査を行ったところ、着圧ソックスを毎日使用している人はわずか 14%で、そもそも使用していない人が 40%近くいました。

とくに静脈の流れを良くするには、下肢の筋ポンプ力で重要な役割を果たすふくらはぎのケアが大事です。運動不足や生活習慣が原因で、ふくらはぎの筋ポンプ力が十分ではない人が多いですが、段階圧力ソックスを着用すると外側から補うことができます。足首の圧力が最も強く、ふくらはぎのサポート機能のあるものがベストです」(長江先生)

着圧ソックスは、なるべく長時間・長期間 適切に着用するのが理想で、日中はもちろんですが、むくみが十分取れていない方や日中はけない方は就寝時にも履くと良いです。

他にも、仕事や家事の合間に、数時間に一度脚を椅子の上にのせて、脚の負担を減らす姿勢をとったり、1時間に1回くらいの頻度で、脚の指でグー・パーを 10回くらい繰り返し作ったりするのも効果が期待できるそう。気づいたときにできそうですね。

寝る前や起きた後などに、仰向けに寝て脚と腕を上げて、小刻みにブルブルと振る(手足ぶらぶら体操、20~30秒を2セット程度)のも下肢の静脈うっ滞(うったい)を解消してくれるのだとか。

隠れ下肢静脈瘤を放っておくと、むくみがますます改善しづらくなり、脚が太くなったり、だるさが消えなかったりと、良いことなし。さらに浮き出てコブ状になった血管や色素沈着は、一度なってしまうと元に戻りません。簡単に取り組める予防法ばかりなので、前もってケアを心がけてはいかがでしょうか。

<長江恒幸先生>
都庁前血管外科・循環器内科 院? 日本外科学会専門医、日本循環器学会専門医、脈管専門医、日本静脈学会評議員、日本脈管学会評議員 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術 指導医。

専門は下肢静脈瘤 動脈硬化 閉塞性動脈硬化症 静脈瘤 動脈瘤 深部静脈血栓症、リンパ浮腫。主な著書(編集・共著)に『「血管の病気」と言われたら...』(保健同人社)などがある。

フリー編集者・ライター。岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。