【漫画】アシスタント歴で知る意外な漫画家師弟関係

いまやコミックシーンをリードする人気漫画家たちも、かつては下積みのアシスタント時代を過ごしていた。今回は師弟関係から漫画を知る、マニアックな楽しみ方をご紹介します。

学問に仕事、そしてスポーツ……すべてにおいて“下積み”は大切である。クリエイティブな漫画の世界も同じで、収入や修行のためにアシスタントを経験し、のちにメジャー作家となった例は多い。そこで今回は漫画家さんのアシスタント歴をいろいろ調べてみた。「あー、たしかに師匠と弟子だから作風が似てるよね」という納得の組み合わせから「え、この人のアシスタントしてたの!?」という意外な師弟関係まで、ちょっとディープな楽しみ方を知ってもらえれば幸いだ。
(※作家名はすべて敬称略。代表作は新旧問わず知名度の高いものをチョイスしています)
 

まず集英社の稼ぎ頭となった大ヒット漫画『ONE PIECE』の尾田栄一郎からアシスタント歴をたどってみよう。彼は『ジャングルの王者ターちゃん』の徳弘正也、『るろうに剣心』の和月伸宏のもとで修行している。そう考えてみれば『ONE PIECE』のキャラクターがここぞという見せ場で鼻水を垂らしながらカッコ悪い顔でカッコいい名セリフを言うあたり、たしかに『ターちゃん』的な徳弘テイストを感じる。一方で、センスの良い戦闘演出や魅力的な悪役キャラの作り方には和月の影響も見てとれる。
 
  

和月伸宏の元アシスタントからは尾田以外にも週刊少年ジャンプでの連載作家が多く育っており、『シャーマンキング』の武井宏之、『鬼が来たりて』のしんがぎん、『Mr.FULLSWING』の鈴木信也など非常にメンツが豪華。独立してからも元アシスタント同士の絆は深いらしく、しんがぎんが29歳の若さで急逝したときも、和月の元アシスタントたちがジャンプの巻末コメントで哀悼の意を表している。

尾田の師匠である和月自身、アニメ化作品を2本(るろうに剣心・武装錬金)生み出しているメジャー作家だが、彼も複数の漫画家のもとでアシスタントをした経歴がある。『BOY』の梅澤春人、『よろしくメカドック』の次原隆二、『キャプテン翼』の高橋陽一という実力派&ベテラン作家が師匠だったのだ。この時代のアシスタント経験が生きていたからこそ幅広いファンを獲得し、今なお第一線で活躍できているのだろう。

 


さて、アシスタントから多くをプロデビューさせたといえば、週刊少年サンデーを中心に活躍する『うしおととら』『からくりサーカス』の藤田和日郎も有名だ。『金色のガッシュ!!』の雷句誠を筆頭に、『美鳥の日々』の井上和郎、『烈火の炎』『MAR』の安西信行など、アニメ化作品をもつ作家がずらりと並ぶ。直球ストレート、王道ド真ん中の少年漫画という意味では『金色のガッシュ!!』がもっとも強く藤田の遺伝子を継いだ作品かもしれない。しばしばコミックス巻末のおまけ漫画で藤田とアシスタント陣の楽しいドタバタ劇が描かれていることからも、職場の人間関係は良好なようだ。なお藤田自身は、デビュー前に『宇宙家族カールビンソン』『ワッハマン』で知られるあさりよしとおのアシスタントをしていた。

ほかに少年サンデーの作家では、『ハヤテのごとく!』を好評連載中の畑健二郎が、『かってに改蔵』『さよなら絶望先生』の久米田康治(現在は少年マガジンに移籍)のアシスタントだった。どちらの作家もシリアスな展開は少なめで、サブカルチャー要素やメタ的なセリフを多く取り入れた作風が似ている。初めてアニメ化された時期では弟子の畑健二郎が早く、逆に久米田はなかなかアニメ化されないことを自身の作中で自虐ネタに使うなど、ことメディアミックスに関しては対照的でおもしろい。師匠の久米田が少年マガジンに移籍後も交流は続いており、畑が『さよなら絶望先生』のアニメにゲスト出演じたこともある。

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