『ふたつの名前を持つ少年』 (C)2013 Bittersuess Pictures

「ぴあ」調査による2015年8月15日のぴあ映画初日満足度ランキングは、アダルト映画界のエース監督と、元国民的子役から再ブレイクを果たしたトップ女優のロマンスを描いたラブ・コメディ『レッドカーペット』がトップに輝いた。2位にユダヤ人強制収容所や隠れ家での生活からたったひとりで生き延びた少年の実話を映画化した『ふたつの名前を持つ少年』、3位に99歳を迎える元零戦パイロット、原田要氏から見た太平洋戦争の真実を描いたドキュメンタリー『ひとりひとりの戦場 最後の零戦パイロット』が入った。

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注目は2位に入った『ふたつの名前を持つ少年』。第二次世界大戦下のポーランドを舞台に、主人公の8歳の少年スルリックが、飢えや孤独、過酷な運命に晒されながらも、生き別れになった父との約束を胸に旅を続ける姿を描く感動作だ。出口調査では「戦争の残虐さを思い知らされた」「ナチスの残酷さも伝わった。終戦記念日ということもあり戦争は本当に良くないことだと思った」という感想が寄せられた。

少年はユダヤ人強制居住区から脱走した後、行き倒れていたところを夫人に助けられ、少年の賢さと愛らしさから、夫人に“ポーランド人孤児ユレク”という名を与えられ匿われた。ところがユダヤ人だとバレてしまうと、次の場所へ逃げなくてはならない。観客からは「ユダヤ人に対する迫害が無くなってほしい」「ナチスによって女も子ども関係なくゲットーに連れて行かれてしまうのはひどい」「子どもがこんなにも過酷な日々を過ごしていたと思うと胸が痛い」などの声が聞かれた。

しかし、本作は、むごたらしい戦争の様子ばかりが描写されているわけではない。過酷な状況下でも、少年の純粋さ、強さに感銘を受け、彼の身を案じた大人がいた。少年は名前のほかにもお守りの十字架を与えられ、ひとりでも生き延びられるようにと、ポーランド人としての架空の身の上話を教え込まれる。観客からは「彼の強い意志と匿ってくれる善良な人々の助けがあって生き残れた」「人間を信じることが彼を支えてくれた」などの声が聞かれ、人間同士の心温まるエピソードも感じ取ることができたようだ。また「“生きること”を考えさせられる映画」「“強く生きろ”というメッセージが伝わった」など、どんな状況でも“強く生きる”ことの素晴らしさを考えさせられた観客も多かったようだ。

(本ランキングは、8/15(土)に公開された新作映画6本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)

『ふたつの名前を持つ少年』
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