来年、洗濯機事業に新規参入すると語るハイセンスジャパンの李文麗社長

ハイセンスジャパンは、来年にも日本国内で初めて洗濯機を投入する。同社の李文麗社長がBCNランキングの取材で明らかにした。第1弾は縦型の全自動洗濯機になる予定だ。また、現在5機種をラインアップしている小容量冷蔵庫についても、来年は380リットルで冷凍室、冷蔵室、野菜室を備えた3ドアタイプの冷蔵庫を発売するほか、中国で展開している4Kテレビを年内に投入するなど、日本市場で展開する製品カテゴリーを増やす計画だ。

●2017年に売上高100億円を目指す

洗濯機市場に参入する狙いについて李社長は、「海外メーカーはハイアールぐらいしかなく参入の余地がある。シングル需要も取りにいきたい」と、一人暮らしの層に需要があると語る。ハイセンスジャパンは現在、テレビ5機種と冷蔵庫5機種を国内で販売している。洗濯機を揃えることで、「春の新生活商戦」などの機会に、一人暮らし向けのセット提案を狙えるという算段だ。

2011年に国内で製品販売を開始したハイセンスジャパン。2014年12月期の日本国内だけの売上高は約30億円。9割がテレビで1割が冷蔵庫という。15年12月期は売上高約52億円(前年比157.7%)を目標に掲げており、8割がテレビ、2割が冷蔵庫を占めると見込んでいる。中期計画では、17年12月期に売上高100億円を目指している。新規で上積みされる洗濯機事業にかける期待の高さがうかがえる。

●国内家電メーカーのすき間をつく戦略

冷蔵庫では今春から、大手家電量販店のエディオンと協業し、同店舗だけで販売しているファン式の容量130リットルと150リットルが好調に推移。量販店以外のホームセンターなどに向けて提供している直冷式の106リットル、82リットル、42リットルの小型冷蔵庫も順調に売上を伸ばしているという。

来年発売予定の380リットルの冷蔵庫は、国内家電メーカーのすき間をつく戦略だ。「国内メーカーは400リットル以上の大容量モデルにシフトしているため、380リットルの領域が手薄になっている。夫婦2人暮らし世帯でそれほど大容量でなくても高機能な冷蔵庫が欲しいというニーズはある」(李社長)と、国内家電メーカーがカバーできない領域を重点的に攻める戦略だ。

確かに、三菱電機が昨年、業界最大容量の705リットルの「置けるスマート大容量 MR-WX71Y」を投入し、今年は日立アプライアンスがさらに容量を上回る730リットルの「真空チルド R-X7300F」を8月13日から発売するなど、大容量化の競争が激しくなっている。一方で、400リットル以下のゾーンが手薄になっている。国内家電メーカーとしては、事業として採算性が悪いゾーンという事情もある。ハイセンスジャパンは、世界135か国のグローバルで展開している。世界のハイセンスのグループ力を使えば、コスト競争力が生かせるというわけだ。

とはいうものの海外モデルをそのまま国内に持って来れば売れるというほど日本市場は甘くない。ハイセンスジャパンでは、日本向け専用の金型をつくって製造しているという。「国内家電メーカーのブランド力や品質、高い技術力などに対する日本の消費者の目は厳しい」と、世界数か国の営業を仕切ってきた李社長は、日本市場攻略の特別さを理解している。

●秋に40型と50型の4Kテレビを発売

テレビでは秋に40型と50型の4Kテレビを発売する。価格勝負となれば、ベンチマークするのはLGエレクトロニクスが実売10万円前後で販売している43型の4Kエントリーモデルとなりそうだ。ハイセンスジャパンが提供する4Kテレビは、かなり衝撃的な価格でのデビューが予想される。

来年の4Kテレビのモデルについては、動画配信サービスの「Netflix」への対応やスマートテレビの対応など高価格帯ゾーンも視野に入れて開発を進めている。テレビのターゲットは2人暮らしのヤングファミリー層を軸に据えるなど、テレビでも販売ターゲットを明確にしている。(BCN・細田立圭志)

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