今年6月にVAIOの社長に就任した大田義実氏

今年6月にVAIOの新社長に就任した大田義実氏は8月19日、東京オフィスで記者会見を開き、VAIOブランドのPCを海外で販売すると発表した。同社は2014年7月1日、ソニーのPC事業部が独立して分社化。ゼロから出発し財務などの基盤が整った1周年を機に攻めに転じる。

●米国とブラジルで参入手法を変える

大田社長によると、まずは10月5日から米国でPC販売を開始する。製造・販売でブラジルの委託先と契約し、時期は未定だが、同国でも販売を始める計画だ。大田社長は、「米国はソニー時代に培ったノウハウを生かした正攻法で、ブラジルはリスクを回避したブランドビジネスで展開する」と、米国では長野の安曇野で生産した「VAIO Z Canvas」を中心に販売し、ブラジルではパートナー企業(委託先)が製販を担うためコスト面などでリスクを少なく展開できると述べた。

米国では、トランスコスモスの米国子会社であるtranscosmos America Inc.と販売パートナー契約を結び、「VAIO Z Canvas VJZ12AXシリーズ」を投入する。同シリーズはクリエイターの生産性や創造性をサポートすることを目的に製品化されたモンスタータブレットPCで、世界最大のクリエイター市場である米国からの引き合いが多いという。全米のマイクロソフトストアでの店舗販売やECサイトでダイレクト販売する。

一方のブラジルでは、現地でオリジナルPCの製造・販売・サービスの一貫体制を敷き、同国のPC市場で製造から販売を手掛けるPOSITIVO INFORMATICA S.A.とパートナーシップを結んだ。同社には、VAIOブランドのPCの製造を含む、ブラジルでのビジネスの全般を委託。「原則として日本国内で販売してるモデルを販売していく、リスクのないブランドビジネスだ」(大田社長)とする。

具体的な目標販売台数や売上高などは明らかにしなかったが、30年以上にわたり総合商社でオーストラリアやブラジル、中国などで海外畑を歩んできた経験を生かす大田社長のスピード感を持った手腕が試される。(BCN・細田 立圭志)