三浦涼介 シャツ:kujaku パンツ:RE QUALITY シューズ:SHOE BAR 撮影:後藤麻由香  三浦涼介 シャツ:kujaku パンツ:RE QUALITY シューズ:SHOE BAR 撮影:後藤麻由香 

シェイクスピアの時代にならって男性キャストだけで演じる“オールメール”作品。蜷川幸雄演出・監修で上演されてきた彩の国シェイクスピア・シリーズの最新作『ヴェローナの二紳士』が、この秋お目見えする。溝端淳平が初めての女役に挑むなど、魅力的なキャストが揃うなか、溝端演じる娘の恋人役に三浦涼介が抜擢された。同じ蜷川演出の『わたしを離さないで』でも鮮烈な演技を見せた三浦。初めてのシェイクスピアで、さらなる進化を遂げようとしている。

舞台『ヴェローナの二紳士』チケット情報

三浦が蜷川演出作品に出演するのは、2012年の『ボクの四谷怪談』、2014年の『わたしを離さないで』に続き、3度めとなる。「蜷川さんはとても愛のある人。そのおかげで、前向きになったり、お芝居が楽しいと思ったり、この先も続けていっていいんだなと思えたりしたんです」とその出会いの大きさを語る。ゆえにまずは、「蜷川さんとまたお仕事するということに自分の意味を置きたい」と言う。蜷川によって開いた可能性と力を自らで存分に活かしたいのだ。「しかも、以前、蜷川さんから弱い役のほうが向いてると言われたことがあって、今回演じる役はそれとは真逆なので。蜷川さんが納得するものを見せるという意味で勝負だなと思っているんです」。

『ヴェローナの二紳士』で三浦が演じるのはプローティアス。溝端扮するジュリアという恋人がいながら、留学先のミラノで親友の想い人に横恋慕するという、いわば自分の思いのままに生きる男である。「本当に自分の思いにまっすぐな人なんです。相手に対しても隠しごとなくぶつかっていって、失うものがあってもいいから自分を全うしようっていう。そこはちょっと自分に近い部分もあるので(笑)、描かれている時代も環境も違うんですけど、違和感なく台本を読めました」。シェイクスピアの世界に初めて触れて、“美しい”とも感じたそうだ。「台詞はちょっと難しい言葉が並んでいたりするけど、噛み砕いていけば本来の人間の姿が見えてくるような感じがするんです。今は情報がありすぎて、人に何かを伝えるにも遠回りしたりしているから、言葉とか行動がこれぐらいまっすぐでいいんじゃないかなと思ったりします」。また、男性が女役を演じることで“美しさ”がより高まるという期待も。「男ならではの女性の美しさへのこだわりみたいなものってあると思うので(笑)、その美しい娘たちに本気で惚れたいと思います」。

オールメールだからこそ広がるイマジネーションがある。その喜びを、演者とともに味わいたい。公演は10月12日(月・祝)から31日(土)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、11月6日(金)から9日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、11月14日(土)・15日(日)は愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール、11月21日(土)から23日(月・祝)まで福岡・キャナルシティ劇場にて。

取材・文:大内弓子