VAIO、営業部門を新設、大田新社長が国内事業方針を発表

2015.8.20 18:6配信
6月に約10人体制の営業部門を新設したと語るVAIOの大田義実社長

「大企業(ソニー)の一事業部門という意識を捨てて行動してもらう」「VAIOには営業部門がなく、収益責任があいまいだった」‐‐。

8月19日、東京・港区にあるVAIOの東京オフィスで開催された大田義実新社長の就任会見で語られた言葉から、昨年7月の新会社設立から1年を迎えたVAIOが抱えている「営業力不足」という課題が伝わってきた。

●就任早々に「営業部」を新設

大田社長は自身のモットーである「良いところは伸ばして、悪いところは直していく」というシンプルな考え方を披露。その悪いところを直す改革として社長就任早々の6月に着手したのが「自前の営業部」の新設だった。

従来のVAIOの組織は、設計や製造、品質保証、マーケティングなど、ものづくりに関連する機能が中心で、拡販をソニーマーケティングなどの販売会社に依存していた。VAIOがソニーのPC事業部門が独立して分社化した背景があり、設立当初はある意味で致し方のない側面があった。

大田社長は今年度(2016年5月期)の方針に「会社の中身、つまり稼ぐ力を身につけて、飛躍への布石を敷く」ことを掲げた。具体的には、自立した会社として設計や製造から販売、サポートまで一貫した体制にする。そのため、営業部を新設して、ものづくり機能に営業力を加えた。長野県安曇野市の本社に10人強の営業部員を配置し、3人程度を東京オフィスに常駐させた。

設計組織にも新たに「技術営業部隊」を設置した。普段設計を担当する社員は、多忙を極めていなければ「技術営業部隊」として営業部内の一員として販売の最前線に出向く。営業部は最大で30人体制にパワーアップすることができる。

たとえば、B to Bではソニーマーケティングの法人営業部とVAIOの技術営業部隊が一緒に、B to Cでは加賀ハイテックなどを通じた196店舗の量販店営業への同行などで、設計組織の技術営業部隊に売上責任を持たせることで社員一人ひとりの意識改革をうながす。

もうひとつの狙いは、顧客ニーズを吸い上げることだ。「技術営業部隊が現場に出ることで、自分たちの作ったのものがどうして売れないのか、どういう機能が喜ばれるのかなど、顧客の声を聞き出して、それを次の商品企画に生かせる。うれしいことに多くの技術者が技術営業部隊に名乗り出てくれた」と、大田社長は喜び、技術営業部隊の効果に期待を寄せる。

●17年度に新規領域事業とPC事業を1:1に

大きな事業方針としてこのほかに掲げたのが、VAIOの強みであるものづくり機能を生かした新規事業領域の創出だ。高密度設計や実装、放熱技術などは受託製造の引き合いも多く、今後もロボット製造やFA(ファクトリーオートメーション)、ゲーム、IoT(モノのインターネット)、コンピューティング技術の分野での伸びを期待する。

2017年度(18年5月期)までの中期経営計画では、この新規領域の事業規模を現在のPC事業と同じ規模にまで拡大する方針だ。アグレッシブな数値を掲げる大田社長は、「新規領域の受託は、実はこちらから営業をかけてなくても依頼を受けるほど。1:1(PC事業:新規事業)は、できるだけ早期に実現したい」と、現状に営業力が加われば受託製造の面でも経営面での貢献が期待できる。

富士ソフトが開発しDMM.make ROBOTSが販売しているヒト型コミュニケーションロボットの「Palmi」は、VAIOの安曇野工場の技術力が反映されている。すでに量産体制に入っている。今後は、こうしたロボット製造技術などの新規領域にも意欲的に進出する方針だ。(BCN・細田立圭志)

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