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 フィンランドの雄大な自然を背景に、テロリストに命を狙われた米大統領と13歳の少年ハンターの友情を描いたサバイバルアクション『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』が公開中だ。

 フィンランドの山岳地帯の上空で、米大統領専用機(エアフォースワン)襲撃テロが発生。ムーア大統領(サミュエル・L・ジャクソン)は、脱出ポッドで機外へと退避するが、山中に落下し、一人取り残される。

 一方、地元の伝説的狩人の息子で13歳のオスカリ(オンニ・トンミラ)は、一人前の狩人になるための儀式として一人で山に入った。偶然出会い行動を共にすることになった二人とテロリストたちによる、追いつ追われつの戦いを描いたユニークな“年の差バディ(相棒)映画”だ。

 『ダイ・ハード』(88)をはじめとする“古き良き”1980年代のアクション映画を手本にしたという本作は、「そんなのあり得ねえー」「もう死んでるだろ」など、突っ込みどころが満載なのだが、出来のいいアクション映画は、そう思わせながらも、けれんみのない展開で押し切って観客を楽しませる。本作もその例に漏れない。多彩な脇役陣の活躍、小道具であるフリーザーの扱い方など、随所に面白いアイデアを散りばめながら、90分程度に手際良くまとめている点も好感が持てる。

 監督、脚本はフィンランドの新鋭監督ヤルマリ・ヘランダー。同じくフィンランド出身で雪が印象的なアクション映画『ダイ・ハード2』(90)や『クリフハンガー』(93)を監督したレニー・ハーリンの影響もうかがえる。ちなみにオスカリを演じたトンミラは監督のおい。これも家内工業のようでほほ笑ましい。

 また本作は、激しいアクションと並行して、いささか大統領としての威厳に欠けるムーアと、偉大な父にコンプレックスを持つオスカリが過酷な体験を経て強い男へと成長していく姿も描いている。オスカリと父、オスカリとムーアという二重構造を持った父と子の物語でもあるのだ。

 本作のプロデューサーのウィル・クラークは「小さな英雄によるアクションアドベンチャーというコンセプトを生み出したこと、自然に根ざした文化と現代社会との対比を試みたこと、それを実現するためにへき地にある厳しい土地で撮影したことが素晴らしいと思う」と述べている。(田中雄二)