2011年に発売以来、有名無名のたくさんのママたちを救ってきた「寝かしつけ育児書」のバイブル、『0歳からのネンネトレーニング 赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』が、このたび、マンガになりました。

赤ちゃんの眠りのメカニズムや、知っておきたい睡眠の重要性などが、かわいらしい、けれどリアルなイラストで、わかりやすく解説されています。

朝は太陽の光を浴び、日が沈んだら静かに夜の時間を過ごすことが、赤ちゃんにはなにより大切であるとわかっていても、今の時代、なかなかそれを実現するのは難しい場合もあります。ましてや、パパや、他の家族の協力なしでは不可能でしょう。

そこで、ぜひ皆さんに、清水悦子著『0歳からのネンネトレーニング 赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』を活用して、ママにも赤ちゃんにもパパにもウィンウィンウィンな生活を手に入れてもらいたいと思い、著者の清水悦子先生に、お話をうかがってきました。

日本の子どもの睡眠が危ない!

清水悦子先生

――ご著書をたいへん興味深く読ませていただきました。

今回出版された本のもとになった『0歳からのネンネトレーニング 赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』は、私の最初の子どもが生まれた時にはまだ世に出ていなかったので、その時に知っていたらずいぶんちがったのではないかと思いました。

若かったということもあり、気合いで乗り切ってしまいました。

清水悦子先生(以下清水)「そうですか。育児書をあまり読まない人にとっては、なじみのない内容かもしれませんね」

――そうですね。この本を読んで思ったことは、そもそも、赤ちゃんの夜泣きをどうしようっていうこと以前に、日本の子どもが置かれている睡眠事情が子どものことを考えたものではないのではないかということでした。

清水「はい、そう思います。おそらく今の日本社会は、大人中心でまわっています。

保育所の整備なども含めて、保育サービスという言葉が使われだしたのがここ数年くらいです。子どもの健康をまったく顧みない政策で、国が保育時間延長を推奨しているような形です。実際に都内23区のなかには夜10時まで預かってくれる保育所も出てきています。

――夜10時ですか? 一日の大半を過ごすことになりますね。認可のところでも?

清水「はい。企業が参入してくるようになったこともあって、子どもにお金をかける家庭も多いので、経済としてお金が回りやすい方向に動いていくのは仕方ないのかもしれませんが、やはり国として、どういう子どもたちを将来育てていきたいのかということを、考えないといけないのでは、と思います。睡眠というのは、健康の基礎になることですから」

――最近になって、睡眠負債だとか、睡眠の重要性についても聞くようになってきました。

清水「そうですね。将来にわたり影響する睡眠の基礎が、赤ちゃんの頃につくられていますから、本当に将来が不安になります」

――そもそも、保育をお金儲けの対象として考えることは、モラルとしてどうなのかなと思いますが、たとえば諸外国などではどういう感じなのでしょうか?

ドイツの赤ちゃんは6時台に寝ている?

清水「アジア圏の発展途上国と呼ばれる国、たとえばフィリピンでは、電気が通っている地域では子どもが夜更かしになって、電気が通っていない山間部の子どもたちは日が沈むとともに寝て、という感じだそうです」

――特に子どもの睡眠をどうこうしようとしているわけでなく、物理的な要因で決まってしまうのですね。

清水「はい。このままだと、日本と同じ道をたどって、子どもたちの不調なども増えていくのではないかと思っています。それに比べて、先進国と呼ばれる国では、日本のように0歳児保育というのがそもそもよく思われていないんです」

――北欧などでは、0歳児保育がないと聞いたことがあります。

清水「そうです。0歳児が集団保育には向かないというのが、基本的な欧米の考え方なんです。1歳を超えて、ようやく集団生活に入っていきます。

働く時間も国として親がそれほど長く働かずに、子どもと一緒にいられるようにする仕組みをとっている国が多く、日本のように子どもができても親がマックスにフルタイムで働く国は、少ないのではないかと思います。

日本も欧米諸国に見習うのであれば、時短が当たり前になる法整備の必要性を感じています。

――日本の社会はすべて大人仕様というお話でしたが、通勤時間の長さもそうですよね。

清水「日本では、子どもが保育所にいていい時間ははっきりと決められてはいなくて、各園の判断で決まるんです。

親の勤務時間を提出して、預かる時間が決まって、それに通勤時間もプラスされますよね。子どもが家にいる時間は、寝ている時間か、そうでなかったら、寝る時間を削ることになります。そういう子どもたちは朝、登園しても、眠たそうにしていると聞きます」