――プログラミング学習ですが、何歳頃から始めるのが良いのでしょうか?

東郷愛美さん(以下、東郷):今回、付き添いで来られていた5歳の子どもが、お兄ちゃんと一緒に遊べることで興味を持っているようでした。

あまり年齢に縛られることはないのかなと思いました。適正年齢は、ご家庭でのITの接し方で変わるのではないかと思います。

――今回、ワークショップで使用された「KOOV」ですが、どういった仕組みの製品なのでしょうか

清水:この「KOOV」では、ソニーがオリジナルで開発した言語が使われています。英語にも対応していますので、英語版での使い方もできます。

東郷:“もし”というのが「if」で表示させたりもできます。色々な使い方ができます。

清水:「KOOV」はプログラミングを使うので、“プログラミングを学ぶだけのキット”と誤解されがち。

ですが、たとえば未就学児というところにおいては、プログラミングを使わなくてもブロックを組み立てていろんな視点から見るという空間的な認識など、プログラミングじゃない部分にもアプローチできるような商品になっています。

また子ども達は、説明を重視するよりも「まずはやってみる」を重視した方がのみ込みが早いため、今日も、 詳しい説明をできるだけ省いて進行をしました。

――保護者にとって気になるのは、どうやればプログラミング能力が身につくのかという部分だと思うのですが、実際にプログラミング能力を養うにはどうすればよいのでしょうか?

清水:エンジニアとも話すのですが、プログラミングに必要なコーディング力は、やれば身に着くのです。英語が話せるようになるのと同じで、何回も繰り返すことで身に着いていきます。

弊社のエンジニアが重要だと言っているのは、“身の回りで課題を見つける能力”です。課題に挑戦し、試行錯誤する。出来上がった製品が、実際に生活のなかでどう役立つかまで考える。そうじゃないと意味がないです。

腕にはめやすいように工夫してあります。

プログラミングのスキル能力と、物事に取り組んでいく力をバランスよく伸ばしてあげることが重要だと思います。

東郷:開発者の方が、みんなが子どもみたいに、ワクワクしながら開発に没頭しているかんじですね(笑)

会社の中にクリエーターを育成するという精神があって、みんながそれぞれクリエーターという意識があるんです。自分が何かに興味を持ってワクワクして、それを作って世に出していくというのが共通した意識としてあります。

清水:たとえば家庭の中にも、もっと改善できそうな問題で溢れています。子ども達がプログラミングを学ぶことで、プログラミングやコンピューターができることとできないことを知り、世の中がもっと良くなることができるようになるといいなって思います。

最後に、「ソニー・エクスプローラサイエンス」館長の速見充男さんに、「ソニー・サイエンスプログラム」について、お話をお伺いしました。

ソニー・エクスプローラサイエンスのエントランス。

――「ソニー・サイエンスプログラム」について、具体的にお聞かせください。

速見充男さん(以下、速見):ソニーの科学教育への取り組みは、創業者である井深大(いぶかまさる)の時代にスタートしています。戦後の日本における教育において、科学の知識を皆さんに届けることもソニーの役目ではないかと考えていました。

会社を設立してから70有余年。科学教育を子どもたちに伝え続けて、2019年で60周年になります。

「ソニー・サイエンスプログラム」では、科学館や、全国各地の拠点で行なっている科学ワークショップなどを通して、科学と技術に触れてもらいながら、学ぶきっかけ作りをしています。個々の拠点以外にも、ワークショップを実施しています。

そのほか、ソニー教育財団では、理科の先生方の支援も行っています。これらを含めて「ソニー・サイエンスプログラム」と呼び、取り組んでいます。

――今後の活動について教えてください

速見:今の時代の子ども達はデジタルネイティブだったりするので、パソコンやタブレットの扱いに慣れていたりします。そういったツールを活用して、論理的思考を育むプログラミングワークショップの機会を増やしていきたいと思っています。

プログラミング学習や、IT化など新たなテクノロジーに対して、ついていけるのかママたちは不安も大きいと思います。

このようなワークショップを通して、より科学を身近に感じることで、子ども達は自然とITスキルを身に着けて行けそうです。