三菱、48年ぶりの技術革新、二つの温度空間を実現したエアコン

2015.8.26 16:38配信
三菱電機の松本匡静岡製作所長

「7年の歳月をかけて従来のエアコンの常識を一新したイノベーションモデルが誕生する。エアコンを変えるエアコンだ」――。

●自ら開発したスタンダード技術を7年かけて打破

三菱電機の松本匡静岡製作所長は8月25日、同社自らが1968年に開発して今のエアコンの室内機のスタンダードな構造になっている「ラインフローファン」を打ち破る、48年ぶりの技術革新を行った「霧ヶ峰 FZシリーズ」を10月下旬から順次発売すると発表した。

価格はオープンで税別の実勢価格は冷房定格能力4.0kWの「MSZ-FZ4016S-W」が約32万8000円、5.6kWの「FZ5616S-W」が約35万8000円、 6.3kWの「FZ6316S-W」が約37万8000円、7.1kWの「FZ7116S-W」が約39万8000円、8.0kWの「FZ8016S-W」が約42万8000円、9.0kWの「FZ9016S-W」が約45万8000円。

現行のエアコンの室内機は、周知のとおり、細長い一つのラインフローファンの周りを熱交換器が囲むような構造になっている。「FZシリーズ」では、天面に平らなプロペラファンを二つ搭載して、その真下に熱交換器をW字型に配置している。1台で異なる温度空間を実現する世界初の「パーソナルツインフロー」という技術を新開発して搭載した。

「パーソナルツインフロー」は、三菱の静岡製作所と同社の先端技術総合研究所などのグループ力を結集し、7年の歳月をかけて作り上げた室内機だ。「室内機の構造や送風システムの設計のほか、天井に近いプロペラの風の騒音を抑えるための開発に数年かけている」(同社)と、入念に時間をかけて開発された技術。左右のプロペラファンがそれぞれ独立して駆動するので、左右で風量を切り分けられるのが特徴だ。

●「ムーブアイ極」が人の温度をセンシング

これに「ムーブアイ極(きわみ)」の細分化された赤外線のセンシング技術が合わさって、部屋にいる別々の人に最適な温度の風を送る。

例えば、冬の寒い時にずっと部屋にいた奥さまと外から帰宅したばかりの旦那さまでは体温が異なる。奥さまにはそれほど温かくない風を、旦那さまには温かい風を送ることができるので、リモコンの取り合いにならない。もちろん、暑い夏の日の冷房運転でも同じように左右の運転を自動で切り分ける。

「ムーブアイ極」のセンシング精度も従来比で4倍の解像度に高めた。人の手先や足先の温度の変化まで把握できる。人間は寒いと感じた時、体の中心を温めようとするため、手先や足先の毛細血管の血液が体の中心に集まる。「ムーブアイ極」は、その微妙な手先や足先の温度変化を0.1℃単位でとらえることができる。それだけ、きめ細かい温度制御が左右で別々にできるのだ。

●エアコンの「二つの壁」を技術革新でブレイクスルー

松本所長は「従来型のエアコンで二つの壁だった“暑がりさんと寒がりさんの共存”と“既存技術(省エネ性能の向上)の限界”を一挙に解決する技術だ」と胸を張る。

既存技術である省エネ性能の向上では、ラインフローファンよりも低入力で高回転が実現できる二つの小型高性能DCモーターを採用することで、従来機種と比較して同一風量時の消費電力を31%も削減した。「W字型新構造熱交換器」によって、熱交換器の搭載量を22%増やすこともできるので、AFP(通年エネルギー効率)が4.5%改善した。

三菱の従来型エアコン(5.6kWクラス)で、5年間かかって改善していたAFPの改善効果13.2%を、1年間で改善(昨年モデル比で13.3%のAFP改善効果)するほどの大きなインパクトに等しい高い省エネ性を実現した。

既存技術の改善では限界が見えていた省エネ性能を、三菱の技術革新で一気にブレークスルーしたというわけだ。(BCNランキング 細田立圭志)

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