洗濯容量11kgの大容量化と「ナイアガラすすぎ」を搭載した日立のビッグドラム

日立アプライアンスは8月24日、ドラム式洗濯乾燥機「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9800」など、4機種を9月19日から発売すると発表した。

●スポークのわずか8mmの改良が業界最大の洗濯容量11kgを実現

新商品では「大容量化」と「すすぎ」機能の強化が大きなポイント。大容量化については洗濯する際にユーザーが思っていることの2位に「できるだけまとめて洗うようにしている」(日立調べ)という項目に注目。世帯人数別でみても独身の1人世帯からファミリーの4人世帯まで幅広い世帯で1位や2位のトップ項目に入っていた。

普段洗っているものは1位が「部屋着や下着、タオル、シーツ」、2位の「シャツ、カットソー」などに続き、「カーテン」が3位、「毛布」が5位に入った。洗濯できるカーテンや毛布が販売されていることから、比較的大きな洗濯物を普段から洗っている実態がうかがえる。まとめ洗いや大物洗いのニーズが、大容量化の開発をうながした。

ただし、日本の住宅環境を考慮すればサイズを大きくすることで大容量化を図ることは許されない。外形寸法を変えずに業界最大の洗濯容量11kgを実現したところがポイントだ。具体的には本体サイズは変えずに、ドラムの薄型化と容積の拡大に取り組んだ。

昨年モデルの「V9700」で採用していたドラムの硬性を保つための3本のスポークを、「V9800」では6本に増加。スポークの高さを、わずか8mmだけ低くした。このわずかな改善が、硬性を保ちつつもドラムの直径を従来よりも4mm長くすることにつながったのだ。ドラムの容積は82リットルから84リットルにアップし、洗濯・脱水容量が従来の10kgから1kgアップの11kgを実現した。シングル毛布ならまとめて2枚を洗える。

●「すすぎ」強化の背景に肌トラブルなどの不安も

一方の「すすぎ」の満足度に関する日立の調査では、不満や不安を合わせて65%も満足していない実態が分かった。「洗剤の溶け残りがある」や「洗剤カスがつく」「洗濯物がにおう」という不満や、洗剤が残ることによる「肌トラブルを起こしそう」や「なんとなく体に悪そう」といった漠然とした不安を抱えていることが分かった。

日立は6月に発売した「ビートウォッシュ BW-D11XWV」で好評だった「ナイアガラすすぎ」をドラム式の「ビッグドラム」でも採用。「ビートウォッシュ」の発売直後の6月から7月の出荷台数は前年比約140%の大幅な伸びだったという。「ビッグドラム」の「ナイアガラすすぎ」では、毎分約1200回転の強い遠心力で水と洗剤を飛ばした後に、回転するドラムに衣類を張り付けたまま毎分80リットル流せるWシャワーの水を投入する。この工程を4回繰り返すのが「ナイアガラすすぎ」だ。高速回転と大量の水が衣類の繊維を通過することで、しっかりすすぐ仕組みである。

4回繰り返した後のすすぎの仕上げは、強い遠心力で脱水のように水と洗剤を飛ばしながら、最後はWシャワーで水をためる「ためすすぎ」を行う。

最近ではすすぎが1回で済む洗剤が各洗剤メーカーから発売されている。ユーザーの節水ニーズに訴える商品だが、一方でしっかりとすすぎをしたいという真逆のユーザーニーズも存在する。もちろん、日立のビッグドラムも標準コースを使えば節水ニーズを満たせるわけだが、「ナイアガラすすぎ」からは両方のニーズをとってしまおうとする日立の貪欲さが伝わる。

価格はオープンで、税別の実勢価格は、洗濯容量が11kgで液晶タッチパネルを搭載し、幅600×奥行き715×高さ1050mmとスリムサイズの「ST9800」が約34万円、幅695×奥行き620×高さ1060mmの「V9800」が約31万円、「ST9800」と同じサイズで液晶タッチパネルなしの「S8800」が約30万円、10kgのV5800が約27万円となっている。(BCNランキング 細田立圭志)