アーバンギャルド・松永天馬

9月4、5日にTSUTAYA O-EASTで主催イベント「鬱フェス 2015」を開催するアーバンギャルド。松永天馬さんに鬱フェスの話から、ロックバンドを取り巻く環境に始まり、果ては炎上やダダ漏れ疲れなどなど…幅広く語っていただきました。

夏フェスに呼ばれないので(笑)、だったらもう自分たちでフェスを作った方が早いんじゃないか

――約1年ぶりの「ウレぴあ総研」インタビューになるわけで、まずは近況をうかがいたいのですが。

※前回のインタビュー記事『アーバンギャルド・松永天馬ロングインタビュー「ずっと“気持ち悪い”と言われ続けたい」

松永:前回のインタビュー以降の近況としましては、ドラマーの鍵山喬一が脱退し、キーボードのおおくぼけいが加入し、キーボード加入後の初ツアーでは会場限定のミニアルバム『少女KAITAI』を引っさげて全国をまわってました。

――これ以上無いくらい簡潔にありがとうございます(笑)。そして今年も主催イベント「鬱フェス 2015」が9月4、5日にTSUTAYA O-EASTで開催するとのことで。

松永:我々はとにかく夏フェスに呼ばれないので(笑)、だったらもう自分たちでフェスを作った方が早いんじゃないかと思って今年も開催することにしました。

他の出演者さんも、モーモールルギャバンさんのようにフェス常連のバンドさんもいますが、たとえばNoGoDさんもそうですけど、実力も人気も十分あるのに何故かフェスに呼ばれないバンドっているわけじゃないですか。特にそういうタイプの人たちに集まってもらおうと。

――人間椅子や大槻ケンヂさんのような先輩から、町あかりさんやベッド・インまでバラエティに富んでいますね。

松永:僕が小学生の頃から聴いていた大御所から、鬱界期待のホープまで!(笑)基本的にはまず何より、音楽が面白いと思う人に集まってもらっています。

そうそう、1年前にお話した時と比べて、アイドルというカテゴライズは、分化しつつ、新ジャンルも生まれつつ、具体的に言うと「ギタ女」や「文化系女子ラッパー」のように、アイドル要素を持ちつつもそう呼んでよいのかどうかわかりにくいものも出てきていますよね。

今回出てくれるDAOKOちゃんも後者にカテゴライズされるかもですが、曲を書くからSSWの側面もあるし、メディアとの連携を打ち出す姿勢はPerfumeや相対性理論以降という雰囲気もある。

そうやって拡散と浸透を繰り返していく上で今はバンドもアイドルもラッパーも魑魅魍魎としてる気はしますよね。

ベッド・インなんかは元々バンドをやっている人たちがアイドルというフォーマットをクレバーに利用していて、いい意味で計算高いなあと思います。逆に町あかりさんは計算してないというか、あのチープなサウンドに超絶な歌唱力が乗るところが面白いというか。

その一方でいわゆる「夏フェスっぽいもの」ってメンツが決まってきちゃってる気がして。「夏フェスはこれが受けるだろ!」というか、「フェスっぽい音楽」って1ジャンルが出来上がっちゃってるじゃないですか。バンドがよく言う「フェスに勝つ、負ける」じゃないですが、フェスのゲーム性とかいうものが逆に音楽を貧しくしている。個人的には凡庸な四つ打ちロックには一刻も早く滅びて頂きたい!(笑)「鬱フェス」は、やっぱり今のフェスに対するアンチテーゼというのもありますよね。