ミシェル・ウィリアムズ

主演作『マリリン 7日間の恋』で第84回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたミシェル・ウィリアムズが待望の初来日を果たし、インタビューに応じた。本作で世界を熱狂させた往年のハリウッド女優、マリリン・モンローを演じ、「同じ女優という部分で、共感できる面が多かった。彼女ほどではないけれど、疑心暗鬼に陥ったり、葛藤することは私にもあるわ」と役柄への想いを語った。

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没後50年を迎えるモンローの秘めた恋を通し、“世界のセックス・シンボル”とのギャップに苦悩する彼女の実像を浮き彫りにした本作。スターの輝きと、等身大の女性が抱えるもろさを演じ切ったウィリアムズの演技は高く評価され、第69回ゴールデン・グローブ賞コメディ/ミュージカル部門主演女優賞を受賞している。

「もちろん外見を似せるための努力は必要だった。私自身は鏡を見るのが苦手だけど(笑)、今回ばかりはいかにマリリンに近づけるか自分の顔を徹底的に研究したわ。でも、彼女の輝く魅力は、やっぱり内側からにじみ出るもの。だから、マリリンの“ソウル”に近づくことが何より大切だった。つまり外見と内面、どちらも重要なのよ。ちょうど前輪と後輪でバランスを取る自転車のようなものね」。もちろん、モンローの出演作すべてに目を通し、彼女の歌声やしゃべりを常にiPodで聞くなど、撮影が始まる10か月前から準備に取り掛かったという。

ローレンス・オリビエ(ケネス・ブラナー)が監督・主演を務める『王子と踊り子』撮影のために、ロンドンを訪れるモンロー。しかし、演技論をめぐってオリビエと対立し、精神的に追い詰められてしまう。そんな彼女をただひとり優しく見守る年下の助監督コリン・クラーク(エディ・レッドメイン)が“7日間の恋”のお相手だ。

「当時彼女は30歳で、私自身も(撮影時)30歳だったから、不思議なめぐり合わせを感じるわ。それにアメリカ人の私が、イギリスに乗りこむ点もとても似ている。ただ、物語と違って、ケネスたちは私のことを信頼し、温かく迎え入れてくれたわ」。

本作をきっかけに再び脚光を浴びるモンローの魅力とは? 「どんなにゴージャスでも、どこか『守ってあげたい』という気持ちにさせられる。きっと少女のころに負った傷を隠そうとしても、隠しきれなかったんじゃないかしら。それに死後50年経っても神秘的な存在であり続ける点ね。この映画は、アイコン化された彼女の下に眠る素顔を見せてくれるはずよ」。

『マリリン 7日間の恋』


取材・文・写真:内田 涼