ステージから落っこちるお茶目なミドリーダー(Ba)も、演奏中はカッコいい。

「うしろまで一人残らず、バカみたいな踊りをしませんか?」というぶうの宣言から始まった『アンテナマン』では、独特の踊りを会場全員で踊るというシュールな光景を展開。客席の園児たちの顔は満面の笑み。

知らない隣人同士も肩を組んで、「パーリラ♪」のリズムに合わせて左右に揺れる。ちょこまかと動き回るクラオカユウスケ(Gt)とスカートをひるがえし踊るJoe(Gt)が、とても楽しそうにしていたのも印象的だった。

MCではぶうが「久々のO-WESTワンマン、最高の景色をどうもありがとう!!」と珍しく素直にファンへの謝辞を述べた。何度となく見たO-WESTステージ上からの景色とは、それほど違った景色が見えたと言うことだろう。そのテンションのまま続くライブでも、メンバーの勢いはとどまることを知らず、ファンもそれに応えて全力を出す。

楽しさを全力のダンス、そして変顔に込めるぶう(Vo)。

内ももに負担がかかりそうな踊りの『湘南ギャラクシーナイト』、ミドのクールなスラップからカオスな振り付けに雪崩れ込む『夜泣く!!噂の赤んぼ少女』、Joeのリフが輝く『仏TV~狂気が電波に乗ってくる!!~』と立て続けた。

曲名を見てもわかるように、えんそくとは一筋縄で「こういうバンド」と言えないほどへんてこなバンドである。しかし、へんてこだからといって、ヴィジュアル系ファンや、それこそヴィジュアル系を普段聴かないようなリスナーが忌避するのはもったいないほど、彼らのライブや曲は“楽しい”のだ。たとえるなら子どものころ、夏休みのプールに遊びに行くような感覚か。

ヴォーカルのぶうは、よく「バカになろうぜ!」と客席を煽る。大人になってから“バカになって遊べる場所”なんて、普通はそうそうないと思うが、えんそくのライブではそれが叶う。だから園児たちはみんな、目を輝かせてその煽りに全力で乗っかるのだ。

ステージ上が楽しそうなので、思わずつられてしまう。

次の曲に入る前には、えんそくのライブ定番の“茶番”が挟まる。曲の世界観になぞらえた小芝居のようなものなのだが、今回は『大銀河戦艦ナガト』の乗組員を選ぶ選考会場の模様。とてもくだらない小芝居なのだが(笑)、これによってメンバーのキャラなどを知ることができるので、ぜひえんそくライブ初心者の方はここもマストで観ていただきたい。