『The Danish Girl』 Courtesy of TIFF

性同一性障害についてのふたつの映画が、トロント映画祭で上映された。ひとつは『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』のトム・フーパーが監督する『The Danish Girl』。ヴェネチア映画祭でもひと足先に上映され、主演のエディ・レッドメインが絶賛を浴びた。

その他の写真

実話に基づくドラマで、レッドメインが演じるのは、20世紀初期にデンマークで画家として活動し、性転換手術を受けて女性になったエイナル・ウェグナー。性同一性障害についての認識がまるでなかった時代に、自分に正直に生きようとしたウェグナーと、彼の妻(アリシア・ヴィカンダー)の苦悩を描く。

正式上映には、フーパー監督、レッドメイン、ヴィカンダーのほか、彼らの親しい友人役で登場するアンバー・ハードも舞台あいさつをした。レッドメインは今年のオスカーで主演男優賞を受賞したばかりだが、今作で来年もまたノミネーションされる可能性は、かなり高そうだ。

もうひとつは、これが世界プレミアとなるギャビー・デラル監督の『About Ray』。舞台は現代のニューヨーク。エル・ファニング演じる高校生は、女の子に生まれたが、成長するにつれて、自分は男だと認識するようになり、周囲に対してレイと名乗るようになっていく。いよいよ肉体的にも男性になろうとし、母マギー(ナオミ・ワッツ)も同意しているが、そのためには両親の署名がなくてはならない。マギーは、長年連絡を取っていないレイの父のもとを訪れることになるが、それがきっかけでマギーとレイは、隠されていた過去の秘密に直面することになる。スーザン・サランドンがマギーの母親、つまりレイの祖母として出演し、いくつものすばらしい笑いのシーンを提供する。

『The Danish Girl』は11月27日、『About Ray』は今週末の北米公開が予定されている。

取材・文:猿渡由紀