『オデッセイ』 (C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved

リドリー・スコット監督の最新作『オデッセイ』が、トロント映画祭で世界プレミアされた。原作は、アンディ・ウィアーが書いたSF小説。宇宙飛行士マーク(マット・デイモン)は、火星への視察旅行中、悪天候のため死亡したと思われ、仲間は彼を残して地球に向かう。だが、実は彼は死んでいなかった。それを伝える手段も閉ざされた上、基地に残された食品の量は限られている。そんな中、マークは、火星にジャガイモを植えるという試みをしつつ、地球と連絡を取ろうとする。

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映画は、ほぼデイモンのひとり芝居。だが、公式会見でデイモンは、そのことに不安はなかったと語った。「脚本がすばらしかったし、途中で、地上や(マークを残して飛び去った)宇宙船のシーンも出てくる。最初から最後まで僕が出づっぱりで観客を退屈させる、ということにはならないだろうと思ったよ。万一、そういう状態になったら、僕以外の人たちのシーンをより頻繁に入れて、変化をつければいいわけだしね」(デイモン)。

ウィアーは今作で作家デビューを果たした新人小説家。自分が書いた小説が、米大手出版社から発行されただけでなく、時を待たずして映画化されたという事実を、本人はまだ信じられないでいる。「そうする必要はいっさいないのに、脚本家のドリュー・ゴダードは僕の意見を常に聞いてくれたんだ。自分の小説が映画化されるにあたって、不安なんていっさいなかったよ。僕にとっては、すべてが喜びだった」(ウィアー)。

デイモンは『インターステラー』でも宇宙飛行士役を経験している。「無重力の中、浮いている状態を演じる場面では、ワイヤが使われるけれども、顔のクローズアップとわかっている時には、ワイヤを使わず、自分で“浮いている”フリをさせられることがある。それは、やっている時、かなりばからしく感じられるんだ。天才監督による、大型予算をかけた傑作でも、現場では子供が自分の部屋で遊んでいるようなことが展開されていたりするんだよ」(デイモン)。

『オデッセイ』は来年2月日本公開。

『オデッセイ』
2016年2月 TOHOシネマズ スカラ座他全国ロードショー

文:猿渡由紀