【2章】いよいよ登山道へ

 

さあ、そんなことを話している間に、気がつけば1時間経過。よっしゃー登山行くでー!

 

登山道に入り、まずは六合目を目指していきます。ここらへんは道も綺麗に整備されており、勾配も大したことなく、ちょっとしたピクニック気分。

 

小1時間ほど歩いた地点で、六合目に到着しました。この地点で、眼下に雲が広がっていい気分。なんだなんだ。楽勝ちゃうん?

 

上機嫌の勢いで、富士山保全協会に寄付。バッジなど貰って、すっかり山男気取りのワタクシ。

 

よーし!この勢いでさっさと七合目目指すぞー!!
え? ゆっくり登って身体を慣らす? んなもん必要あるかーい! 行くでー!!

 

行くで…あれ…?

 

なんか、ここから明らかに雰囲気が変わってきて

 

明確に勾配がきつくなってきてるんですけど…?

六合目を出発して30分ほど。あっという間に息が絶え絶えになるワタクシ。富士山って、六合目までとその先からが全然違う!

それこそ「ヤマノススメ」とか他の登山に関する読み物でも「登山は大変」といった描写が出てくるたびに、「いや、そうは言っても、切り立った崖とかでもない限り、歩いていりゃそのうち着くのが道理でしょ」なんて思っていたんですけど、その「歩く」がこんなにしんどいとは。

分かりやすい感覚で例えると「全力で50メートル走って、ゼーゼーいってる状態」にすぐ陥る感じ。そんな状態で、さらに歩かされる…。い、いや!ちょっと待って!一息つかせて!酸素が足りない!

 

六合目ではしゃいでいたのはドコへやら。山道の端に腰掛け、頻繁に休憩を取るようになります。それでも何とか七合目に到着しました。ここらへんから笑顔が消えてきたワタクシ。

 

サカイ「大丈夫か」

ゴトウ「いや、だって今七合目ってことは、この先八合目、九合目、そして頂上なわけでしょ?十進法でしょ?せめて八進法になってくれれば…」

サカイ「大丈夫じゃなさそうだな」

 

唐突に十進法を呪いつつ、八合目を目指して発進します。しかし…、この七合目から上がさらにきつい。事あるたびに休みを入れるように。

 

ゼーハー言いながら、何とか騙し騙し八合目に到着しました。ここで一泊するので、本日の登山はここまで。やったー!

 

ゴトウ「ようやく八合目!宿だー!休めるー!」

サカイ「いや、もうちょっと登らないといかん」

ゴトウ「えっ?だって、八合目に宿を取ったって…」

サカイ「我々の止まる山小屋は“本八合”にあるんだ」

ゴトウ「え?なんすかそれ!」

サカイ「八合目の中にも高い低いがあって、本八合ってのは一番上のあたりってことだ」

ゴトウ「ゲームでいうところの隠しトゥルーエンドみたいなもん? 」

サカイ「それも違う」

まーとにかく、もうちょっと登らないといけないらしい。そんなー!

 

ちなみに我々が登っているこの「吉田ルート」は、初心者向けということで売店などが充実しています。

 

ここ八合目の売店でも、ペットボトル400円カップラーメン500円等が販売されています。落ち着きたいということで、コーンスープ500円を購入。

 

目の前で作られるそれは缶でもレトルトでない、お湯で溶くだけの粉末スープです。

平地のファミレスで200円で出されたら眉をしかめるはず。しかし…これが、驚くほどに美味い!なんていうか塩分で身体が目覚めるというか、温かみが身体に染みるというか。

 

粉末スープで500円。通常では考えられない値段です。が、実際にここまで運ぶ苦労を考えたら、ぜんぜん安い。というか金額の問題ではなくなっている。高いとか安いとかの価値観が希薄になっているのを感じます。

 

ゴトウ「普段だと、立ち食いそばに60円のコロッケを入れるのですら悩んでいる僕が、コミケだと薄い本を1000円2000円でもあっさり買っちゃうみたいなもんですね」

サカイ「お前、今日はことごとく違うな」

 

スープで気力を回復させて出発。今度こそ、本当に宿に到着だー!