夫に自分の不満や本音を上手に伝える方法

そこで椎名さんに、自分の不満や本音をうまく夫に伝えて、家事や育児、仕事などを夫婦円満に進めるための「伝え方」を教えていただきました。

椎名「結論から言いますと、伝え方のポイントは『客観と主観を区別して論理的に伝える工夫をすること』です。詳しく説明していきます」

1: 客観的に考える

椎名「客観とは、例えば『夫に家事や育児をもっとやってほしい』と思ったときに、『この人に頼めるのはどこまでなのか?』を夫の立場に立って考えることです。

『自分ばっかり』『私は毎日やってるのに夫は一度もやったことがない』というのは主観。主観は置いておいて、現実的には家事や育児をやる環境が夫にはあるのかを考えます。

例えば育休が取れるのかどうか、仕事を残して帰れるのかどうか、夫が今やっているように、自分も毎日同じ時間に起きて会社に行ったとしたら、果たして家事・育児がどれだけできるのかということをよく考えてみます。

もしかしたら、夫はやろうとしてるけれどできないだけなのかもしれません。このように客観と主観を区別して考えることが第一のポイントです」

2: 論理的に伝える

椎名「客観と主観を整理できたら、次はそれをどう伝えるか。先ほどもお話ししましたが、文句や愚痴はダメ。

男性の脳というのは、愚痴は聞きたくないんです。聞きたくなる表現でないといけません。

ポイントは、論理的に数字などを使って、具体的に伝えること。

例えば、掃除を頼むにしても、『こことここをこの道具を使って掃除してほしいの。だいたい10分くらいで終わるから今やってほしいの』などと伝えます。

『なんでいつもここ私ばっかり掃除してるの?』では、何を言ってるのかさっぱり分かんない、とシャットアウトされてしまいます。自分の言い方次第で、相手の行動を変えることはできるのです」

不満や愚痴を言いたくなったら、客観的に考えてみること。そして伝えるなら、論理的に伝えること。これがポイントになりそうですね。

家事や育児を夫にやってもらうためのコツは?

続いて椎名さんから、家事や育児を夫にやってもらうための伝え方のコツについて、アドバイスをいただきました。

1: 細かく伝え、できなくても感謝する

椎名「もし、夫に何か家事や育児についてやってもらいたいことをお願いするなら、とにかく“細かく”伝えることがポイントです。

例えば『オムツ替えておいてね』と頼んでも、オムツは替えるものの、変えた後のオムツは置きっぱなし、なんてことも。

夫はオムツをどこに捨てるのかわからないのです。ですから、頼むときは細かく具体的に『オムツを替えたら、オムツはここの袋の中に入れて』などわかりやすく言いましょう。

夫が何かをやってくれたとしても、うまくいかないこともありますよね。そういうときに、感情的に指摘をしないこと。

感情的指摘を言うと『じゃあもうやらないよ』と夫はシャッターを下ろしてしまって意固地になってしまうこともあります。

うまく持ち上げて行かないと、たいていやらなくなってしまいます。大切なのは、できてもできなくても、してくれたことに感謝を伝えること。

ここでも客観と主観を区別して、夫の立場になっているかをよく考えて伝えましょう」

2: 「男性には女性と同じようにできないこともある」とあきらめることも大切

椎名「時にはあきらめることも大切です。あきらめるというのは我慢ではありません。男性に頼んでもできないものもあると割り切るということです。

例えば、洗濯物を干すのすらできない男性もいます。一人暮らしがいくら長くても、料理もまったくできない人もいます。

特に料理はレシピによく出てくる『塩少々』や『色が変わってきたら』などの細かいニュアンスが男性にはわからないといわれます。

男の人は女の人が簡単に思うことも、できないものなのです。

そういう、もともとできないことは、あきらめるということです。そしてできる何かを探しましょう。例えば重いものを持ってもらう、DIYをしてもらうなど、男性が得意とすることを頼むといいですね」

夫婦円満になるためには、妻の「伝え方」がカギになりそうです。

主観的に被害妄想を抱く前に、夫婦それぞれの状況を客観的に捉えてみましょう。男女格差や不満を感じたら、ぜひ実践してみてくださいね。


【取材協力】椎名 あつ子(しいな あつこ)カウンセラープロフィール
横浜心理ケアセンター 代表。
2000年に「横浜心理ケアセンター」を設立。治療目的のカウンセリングを中心に、親子や夫婦などの家族カウンセリングを得意とする。他に、企業向け講演なども行い、医療機関や弁護士と協力体制のもと、多種多様な心の問題に対応。

ライター。美容、健康、グルメなど、今ドキ女性が気になる情報をお届けしています。素朴な疑問を調査したり、専門家に聞いたりして、分かりやすく読者に伝えるのがモットー。