床拭き掃除ロボット「ブラーバ」

今年の夏、自宅にいる時に素足で過ごした人は多いはず。丈夫な皮で覆われている足の裏でも、床の汚れやべたつきには敏感。床はきれいにしておきたいものだ。掃除機ではゴミを取り除くことはできても、このべたつきはなかなか取れない。やはり拭き掃除も不可欠だ。この拭き掃除を自動でしてくれるのが床拭き掃除ロボットの「ブラーバ」。家庭の床を美しく、心地よくしてくれる「ブラーバ」について国内市場の担当者に話を聞いた。

●ロボット専業メーカーが生み出したお掃除ロボット

アイロボットといわれてピンとこない人でも「ルンバ」なら知っている人も多いだろう。アイロボットは「一つのロボットが一つのミッションを徹底的に」をコンセプトにロボットを開発している米国のロボット専業メーカーだ。当然、「ルンバ」もこのDNAを受け継いでおり、「お掃除ロボット」として人の手を煩わせることなく、しっかり掃除ができる。アイロボットはこのほか、ワールドワイドでプール掃除ロボット、雨戸掃除ロボットなどを開発、販売している。

「ルンバ」「ブラーバ」を国内で販売している代理店、セールス・オンデマンドの第一事業本部 マーケティング部 製品企画グループの山内 洋氏に「ブラーバ」の戦略、床を美しくすることのこだわりを聞いた。

――アイロボットが開発した数あるロボット掃除機のなかで、「ブラーバ」を国内市場に投入した意図はなんでしょうか。

山内 アジア、特に日本の生活のなかで拭き掃除は大変馴染みがあります。昔は雑巾がけをしてきたし、掃除機でゴミを取り除く掃除が主流になったいまも使い捨てシートで拭き掃除をしている人は非常に多い。需要があると思いました。

――「ブラーバ」を米国で発売したのは2013年8月のことですが、国内の発売は2014年7月と米国発売から約1年も空いています。日本市場の投入が遅れたのは何か戦略的な理由があったのですか?

山内 戦略、日本市場に合っているか検証するのに1年もかかってしまったんです。この検証は開発元のアイロボットではなく、セールス・オンデマンドで実施しました。日本の住環境、例えば床材や家具などに合っているか、日本市場で求められる品質を満たしているか、徹底的に検証をしました。

●当初は直販サイト限定販売。年末には品切れに

――満を持しての発売となるのですが、当初は直販サイトのみの販売でしたね。これには理由があるのですか?

山内 ユーザーニーズに合っているか、ユーザーの声を直接聞きたくて、あえてウェブ限定にして間口を狭くしました。ところが、嬉しいことに予想以上の反響があり、昨年の年末には在庫切れになってしまいました。販売できない時期があり、お客様には大変ご迷惑をおかけしました。

――直販ですと、ユーザーの声がダイレクトに届いたと思います。その手応えはいかがでしたか。

山内 拭き掃除とは、掃除機などでゴミを取り除いた後に、さらに床をキレイにするために行いますが、膝をついて雑巾がけをするのはなかなかの重労働。拭き掃除は「しない」のではなく、「したくてもできない」という現状であることがわかりました。それを「ブラーバ」が肩代わりしてくれるわけです。ユーザーのニーズにぴったり合っていたことが実感できました。

●「ルンバ」と「ブラーバ」、お互いライバルとなるのか

――自動掃除機というと、「ルンバ」の人気が絶大です。「ルンバ」と「ブラーバ」は競合関係にあるのではありませんか?

山内 「ブラーバ」の購入者にアンケートをとったところ、「ルンバ」を購入している割合が非常に高かった。「ルンバ」の代わりに「ブラーバ」を使うのではなく、「ルンバ」で掃除をした後に「ブラーバ」を使っており、この二つはライバル関係にはありません。例えるなら「ルンバ」がほうきで、「ブラーバ」が雑巾の関係です。どちらか一つではなく、二つでよりキレイで心地よい床環境を整えているのです。

●今年の4月から店頭販売を開始。強調したかったのは静かさ

――2015年4月に店頭販売を開始しましたね。この時期にある程度の検証が終わった、ということでしょうか。

山内 ある程度の検証が終了した、というのももちろんあります。それ以上にユーザーの声を集めていたら、夏場、家のなかを素足で歩くので床のベタベタをなんとかしたい、という声が多かった。夏場に使って頂くことを考えると4月に発売して店頭で確かめてもらい、夏前に購入して頂きたい。そういった戦略がありました。

――いま店頭ではたくさんのロボット掃除機が動いていますよね。そのなかで伝えたい「ブラーバ」の良さとは何でしょうか。

山内 確かに、店頭ではたくさんのロボット掃除機があって、迷う人が多いと思います。そのなかで「ブラーバ」の優位性は静かなことです。掃除機と違ってゴミを吸い込みませんので、とても静かです。夜でもご近所の迷惑にならず掃除ができます。夜、自宅でテレビを見たり、くつろいだりしている時間でも邪魔をしません。そういった点を確認していただきたいと思います。

●床を「美しく」することで心地よい空間をつくる

――最後に「ブラーバ」が行う拭き掃除とはユーザーにどのような価値があると思いますか。

山内 弊社の「ルンバ」に限らず、掃除機は床のゴミを取り除き、いわば「0」の状態にするものです。「ブラーバ」はその0から床を磨くことでプラスの状態に、つまり環境を良くしてくれます。床をキレイにすることで、心地よく素足で歩くことができます。キレイな床を素足で歩く気持ち良さは日本人独特の感覚でしょう。

また環境を良くすることでいい影響が生活に出てくると思います。例えば拭き掃除をロボットがしてくれることで空いた時間でほかの家事をしたり、キレイな床の上でちょっとヨガをしてみたりと、時間を有効に使うことができます。これからの季節、秋の夜長に床に寝そべって読書をしてみるのもいいかもしれません。「ブラーバ」で「美しい」生活を始めてください。

――ありがとうございました。(聞き手・文:山下 彰子)