『アンジェリカの微笑み』

今年4月に106歳でこの世を去った巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督が101歳の時に手がけた映画『アンジェリカの微笑み』の予告編映像が公開になった。

その他の画像/予告編公開

本作の舞台はポルトガルのドウロ河流域の小さな町で、このほど公開された予告編は、カメラが趣味の青年イザクが、若くして亡くなった美しい女性アンジェリカの撮影を依頼される場面から始まる。雨の降る中、豪邸を訪れたイザクは、静かに横たわるアンジェリカと対面する。イザクは彼女にカメラを向け、ファインダーを覗くが、その瞬間にアンジェリカはまぶたを開けて、イザクに微笑みかける。

その後は彼女に心を奪われてしまったイザクの彷徨が描かれる。イザクの心は彼女の“想い”であふれ、それは空想と混ざり合って幻想を生み出し、目の前に見えているものすら凌駕する存在へと成長していく。夜のシーンでは陰影に富んだ鋭い映像を、昼間のシーンでは部屋の風景と、窓の向こうに広がる世界を巧みな構図で描き出しているのは、『夜顔』や『家路』などの作品でもオリヴェイラ監督とタッグを組んだ撮影監督サビーヌ・ランスラン。予告編でも、どこか幻想的で、しかし重厚な映像を堪能できる。

オリヴェイラ監督は亡くなる直前まで“現役”として活躍し、次々に新作を発表してきたが、本作は、これまで日本で公開されなかった“幻の作品”として、早くも映画ファンの注目を集めている。

『アンジェリカの微笑み』
12月 Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

(C)Filmes Do Tejo II. Eddie Saeta S.A.. Les Films De l’Apres-Midi.Mostra Internacional de Cinema 2010