VOLA & THE ORIENTAL MACHINE

NUMBER GIRL、ZAZEN BOYSのメンバーだったアヒト・イナザワが2005年に結成したバンド、VOLA & THE ORIENTAL MACHINE。ドラマーだったアヒトがボーカルとしてフロントに立ち、エレクトロ・ロックの先駆として高い人気を誇る彼らが、実に5年ぶりとなる新作『TRANSDUCER』を4月3日(水)にリリースする。アヒト、そして有江嘉典(b)に話を訊いた。

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「2014年に5曲入りEPを出して以降、曲を作ってはプールして、を繰り返してるうちに、メンバーの楢原英介(g、syn、vl)が“もう演らないんスか?”みたいなニュアンスになってきて(笑)。普通のバンドと違って僕が福岡在住なので、しょっちゅうセッションは出来ない。だからデータでのやりとりが中心でメンバーのスキルに任せています」(アヒト)。

8曲入りの本作はアヒトと楢原が曲を提供。これまでのハード・フロア・ビート、エレクトロ・ロックと比較して、より躍動感や華やかさを感じる仕上がりになっている。「以前よりハッピーな雰囲気の楽曲が多い」(有江)、「今までは流行ってるものを聴いてインスパイアされて、っていうことが多かったけど、今回はそれが一切無しというか、自分が好きなことを内面から抽出してる」(アヒト)と、VOLAのサウンドがより開放的な印象を受ける。有江がthe pillowsや杉本恭一のサポート、中畑大樹(ds)がSyrup16gやperidotsのサポートを務めるなど、音楽シーンになくてはならない凄腕メンバーが揃うこのバンドで、本拠地ならではの凄みが漂う。「スケジュールに追われて作る音楽はもう嫌だなと思っていて。じっくり長いスパンかけて代えの効かない音楽を出していきたい」(アヒト)。

リード曲『MAC-ROY』のMVは、クラウドファンディングで資金を集め、映画監督の山下敦弘に製作を依頼した。「エキストラの出演権というのがあって、ファンの方がたくさん来てくれたので、撮影の休憩時とかに率先して話したりしましたね」(有江)。「大勢の声でシンガロングしてるようなコーラスが欲しかったのでTwitterで参加してくれる人を募りました」(アヒト)。同じレーベルのバンド、deronderonderonの木越アイをコーラスに迎えた『Last Dance』も実にポップで新基軸を打ち出している名曲だ。

5月からおよそ9年ぶりとなる全国ツアーも決定。ファイナルは6月30日(日)新代田 FEVERだ。インターバルの長いバンドだけに、生で彼らの魅力を体感できる貴重な機会を見逃すな。

取材・文:浅野保志(ぴあ)