サイバーパワー・ジャパンの「CPJ1200」。見かけはまるでタワー型のデスクトップPCだ

雷や豪雨、地震……。停電は、さまざまなきっかけで発生する。停電すれば、使用中の家電は突然電源が落ちる。デスクトップPCで作業をしていれば、それまでの作業内容が消えてしまうし、最悪の場合には故障してしまうだろう。停電が長引くと、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど、バッテリを内蔵するデジタル機器のバッテリが尽き、家族との連絡や情報収集が不可能になる恐れもある。そんな緊急事態の“転ばぬ先の杖”として用意しておきたいアイテムが、9月1日にサイバーパワー・ジャパンがリリースしたUPS(無停電電源装置)「CPJ1200」だ。

●いまや家庭の必需品となりつつあるUPSだ

UPSは、停電などでコンセントからの電力供給が途絶えた後、デジタル機器に一定の時間電力を供給することができる電源装置だ。使い方は簡単。UPSを壁のコンセントにつなぎ、そのUPSに備わったコンセントにデジタル機器をつなぐだけ。普段はそのまま家庭の電力を利用しながら、停電時には、UPSのバッテリが電力を供給する。その間に通常通りの手順でデータを保存し電源を切ることができ、データ消失や故障を回避することができるのだ。

従来、UPSはPCのヘビーユーザーのためのアイテムというイメージの強かったが、長雨や豪雨、地震など、異常気象が続くいまの日本では、いつ自分が長時間の停電に巻き込まれるかわからない。そのような状況では、ライフライン確保の手段として、スマホなどの充電も可能なUPSの存在が重要視されつつあるのだ。

「CPJ1200」は、家庭向けのUPSとしておすすめの一台だ。家電用のコンセントのほか、USBポートを搭載し、スマホやタブレットの充電が可能。1200VA/720Wと大出力なので、デスクトップPCとディスプレイのほか、ブロードバンドモデムなど、電源のバックアップが必要な機器をすべて接続できるのもうれしい。

バッテリ容量も十分だ。「CPJ1200」は、100Wの電化製品をつないだ場合の動作時間は約63分。筆者の利用しているデスクトップPCの場合、インターネットを利用しながら、WordやExcelを使って書類の作成を行うと、ディスプレイと合わせて、65W~90Wの電力を使用していた。つまり、万が一、停電が発生しても、1時間以上は継続して作業を行える計算だ。

よほど緊急の作業でない限り、実際に停電が発生したら、そこでPCの利用を中断するのが普通だろう。接続したデジタル機器の電源を切った後に、「CPJ1200」に蓄積されている電気は、USBポート経由で、スマホなどの充電にも活用できる。2ポート合計で5V2.1Aの出力が可能。スマホだけでなくタブレットにも対応し、災害時の電源確保として、大活躍するだろう。

●あるだけで安心感が違う! 「CPJ1200」を試してみた

実際に「CPJ1200」を使ってみた。前面には、視野角の広い大画面ディスプレイを搭載。バッテリの充電状況や残量などを一目で確認することができるのは大きな安心感につながる。2口のUSBポートは前面に配置されているため、必要なときにすぐに接続できるのが便利だ。普段は、デジカメやICや携帯オーディオ、ICレコーダーなど、USBに対応した機器の充電に利用するとよいだろう。

背面には、電源をバックアップしたい機器のコンセントを接続する。12口のコンセントのうち、電源バックアップに対応したコンセントは6口。これだけあれば、一般的な家庭なら、十分な数だろう。残りの6口は、雷サージ対応のコンセントだ。落雷の影響で一時的な大電流が流れた際に、コンセントに接続した機器が故障するのを防いでくれる。さらに、そのうちの3口はPCのシャットダウンと連動して電源の供給をストップする「ECO出力コンセント」。プリンターやスキャナーなど、PCとの連携のみで利用する機器の消費電力を抑え、電気代を節約することもできる。

気になるのが、PCの電源を入れたまま、外出してしまった場合だ。「CPJ1200」は、そんな緊急事態にも対応できる。無料でダウンロードできるPCソフト「PowerPanel Personal Edition」をインストールしておくと、電源断が発生した場合に、自動でPCを休止状態に移行することが可能だ。実際に、「CPJ1200」にPCの電源ケーブルを接続した状態で、電源供給を断った検証結果が次の動画だ。

電源を落とした後、1分で休止状態を移行する設定にしたところ、無事にシャットダウンを実行した。同時に「CPJ1200」自体の電源もシャットダウンする。帰宅後にまだ電気が復旧していない場合には、スマホなどを充電する予備電源として活用できるというわけだ。

実際に、スマホの充電も試してみた。ほぼフル充電の「CPJ1200」に「iPhone 6 Plus」を接続すると、残り稼働可能時間が298分と表示された。一方、接続したiPhoneは、30分で18%を充電。これなら3時間ほどでフル充電ができる。

一般家庭用としては十分な1200VA/720Wの大出力容量と、2口のUSBポートを搭載した「CPJ1200」。価格は3万3000円前後と、同クラスのUPSと比較すると非常にリーズナブルだ。停電や落雷時の故障防止役として、災害時の対策として、コストパフォーマンス抜群の「CPJ1200」を導入してはどうだろうか。(フリーライター・星政明)