デジタルビデオカメラの販売縮小が徐々に底を打ち始めた。2013年8月比でみると、販売台数はこの8月で0.73、販売金額は0.82と市場は大きく縮小してきた。前年比では前年割れ基調ではあるものの、徐々にそのマイナスが小さくなっている。例えば14年8月の販売前年比は台数で79.6%、金額で88.5%と、大きく二ケタ割れの水準だった。ところがこの8月では、台数91.7%、金額93.2%と一ケタ台のマイナスにとどまった。平均単価の上昇による販売金額の底打ち感は強い。4K化が従来のデジタルビデオカメラだけでなく、伸びているカテゴリーであるアクションカムでも進んでいることが大きい。

デジタルビデオカメラのメーカー別販売台数動向を見ると、このところシェアを拡大し始めているのが、パナソニックとGoProだ。いずれもアクションカメラで販売に勢いをつけており、特にパナソニックはトップシェアを走り続けてきたソニーを脅かす存在になってきた。実際、2月から5月までの4か月間はソニーからトップの座を奪い、現在でも僅差で競っている状況だ。GoProのシェアはまだ一ケタ台だが、着々と差を詰めてきており、市場構造は大きく変わりつつある。

デジタルカメラと同じくデジタルビデオカメラも、スマートフォン(スマホ)に押されている。日常の撮影はスマホで、特別の撮影には専用機でという動きは、写真もビデオも同様だ。いずれの専用機もその存在意義の見直しが急務だが、ここにおもしろいデータがある。ソニーマーケティングが実施した調査によると、スマホで撮った動画の保管方法について、4割以上のユーザーがスマホに入れたまま管理していない、という。つまり、撮って終わり、という行動パターンだ。一方、ビデオカメラで撮影する理由としては、後々データを整理しやすいとの回答が47.8%で最も多く、次いで、被写体が遠かったり動いていたりする際にうまく撮影できないが40.3%だった。

誰もがスマホで動画撮影は経験するものの、その利用は、撮影データを管理する必要がない、きわめてライトなものに限られている。一方で、きちんと撮るにはやはり専用機が必要と、再評価され始めているようだ。これが市場縮小が止まり始めた一つの要因だろう。スマホにできないことを徹底定期に追求することが、スマホに奪われてききた市場を取り戻すためには不可欠だ。(BCN・道越一郎)

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