ベイシア電器eコマース・ロジスティクス部の森越康昭部長

ベイシア電器は9月4日から、地元群馬県前橋市の「前橋みなみモール店」で家電製品の無料レンタルをスタートした。顧客が購入前に1泊2日で商品を試してから納得して購入してもらうことを狙う。購入後のアフターサービスならぬ、購入前のビフォアサービスとして打ち出していく。

●顧客、店、メーカーの「三方良し」のサービス

ベイシア電器のeコマース・ロジスティクス部の森越康昭部長は、「フィリップスのノンフライヤーやタイガー魔法瓶の土鍋IH炊飯ジャー、ダイソンの掃除機など、買う前に少し試してから購入したい商品は多く、そのニーズが高いことが分かった」と、店頭での無料レンタルサービスに手ごたえを感じている。

チラシやウェブで告知もせずに試験的に店頭でスタートしたにも関わらず、1週間ほどで5件の申し込みがあった。そのうち3件が、商品はワンランク下ではあるものの、実際の購入に結び付いたという。

レンタルする商品は、元々は新品で、貸し出すたびに清掃やメンテナンスをしている。貸し出し期間を1泊2日にしているのは、商品が貸し出し中でも、明後日には確実に次の人に貸し出せるようにするためだ。貸し出し中の商品を管理する手間を最小限にできる。自宅まで配送する場合は、別途、運送費をもらう。「お試しレンタルは、お客様が納得して商品を買っていただける。店員は無理に売り込まなくていい。メーカーは口コミや評判が広がる。三方良しの仕組みだ」と、森越部長は語る。

●ヒントはウェブの家電レンタルサービス

ベイシア電器は、2014年12月にeコマース部を立ち上げている。15年3月からウェブで家電商品のレンタルサービス「ベイシア電器@レンタル」を開始した。こちらは2泊3日で3000円(税込)と往復送料の1000円という価格設定でスタートした。現在はレンタル料金を2000円~5000円以内にするなど料金体系を見直しており、10月末にリニューアルしてスタートする。

「ベイシア電器@レンタル」は3月のスタートから1か月で30件の注文があり、その後も倍々で増え、8月は月に200件まで増えた。想定以上の反響でニーズが確実にあることが分かったという。ただし、購入率が低いのが当初の見込みと違った。ウェブでは借りるだけというニーズが多かったということだ。

なかにはイベントで使いたいとか、学校の教材でノンフライヤーを10台借りたいといったものもあった。それならば、ウェブはレンタル事業に特化して採算が合うようにしようということで、料金体系を見直している。

ウェブの月200件のニーズからヒントを得て、このほど店頭で無料レンタルをスタートした。「当社のような地域密着型の家電量販店はアフターサービスの充実は当たり前。購入前のレンタルというビフォアサービスで差別化していきたい」と森越部長。現在、無料レンタルできるアイテム数は47まで拡大している。

今後は店頭で実際に商品を使ってみた顧客の声を反映させたり、食品とキッチン家電をセットにしてシーン提案で試せるようにするなど、アイデアは次々と膨らんでいる。(BCNランキング 細田立圭志)