4月15日、パリのノートルダム大聖堂で大規模な火災が起きた。尖塔や屋根は焼け落ち、バラ窓に象徴される美しいステンドグラスも被害に遭った。フランスだけでなく世界中の人々をひどく悲しませた出来事だ。フランスのマクロン大統領は、2024年にパリで開催するオリンピック・パラリンピックを視野に入れ、5年以内に再建すると宣言した。しかし、数十年はかかるとの声もある。少なくともあと何年も大聖堂本来の姿を目にすることはできなくなった。 火災を受け、ネットは被害の模様を伝える写真で占領され、それ以前の様子は消え去ってしまったかのようだ。火災そのものは残念でならないが、無残な写真で溢れている現状もまた胸が痛む。荘厳で心洗われる在りし日の大聖堂内部の空気は、張り詰めていて穏やかだった。

そこで修復の成功を祈りながら、内部のものを中心に火災前の19枚の写真を掲載することにした。2017年の春に撮影したものだ。心を揺さぶられながら無心にシャッターを切り続けた。多少なりとも訪れた人々の思い出の助けになれば、あるいは何かの記録の足しになれば幸いだ。なお、オリジナル記事を掲載しているサイト、BCN+R(https://www.bcnretail.com/)では、撮影したままの大きな写真を見ることができる。(BCN・道越一郎)