『プリンス・オブ・ブロードウェイ』稽古場より 柚希礼音 『プリンス・オブ・ブロードウェイ』稽古場より 柚希礼音

プロデューサーとして、また演出家として『ウエスト・サイド・ストーリー』『キャバレー』『オペラ座の怪人』等々を手がけ、“ミスター・ブロードウェイ”と呼ばれる巨匠、ハロルド・プリンス。彼の新作がここ日本で開幕する……というのは、演劇界の大事件だ。まもなく開幕するその注目公演『プリンス・オブ・ブロードウェイ』の稽古場を10月15日、取材した。

チケット情報はこちら

まず、稽古場の豪華さに驚かされる。あのハロルドがいる。共同演出として『プロデューサーズ』『クレイジー・フォー・ユー』等の演出家、スーザン・ストローマンもいる。ハロルドの隣には新進気鋭の演出家ダニエル・カトナーの姿も見える。まるで、ブロードウェイそのものが日本にやってきたような、きらびやかな顔ぶれ! 米演劇界最高の名誉・トニー賞の常連だらけである。そんな中ハロルドが取材陣に「どうぞ楽しんでいってくださいね」と声をかけ、稽古はスタートした。軽快なテンポのオーバーチュアに、『オペラ座の怪人』『エビータ』…と、聞き覚えのあるフレーズが山ほど盛り込まれていて、これも、あれも巨匠の作品だったか……と、改めてその凄さを思い知る。

作品は、ハロルド・プリンス自身の人生を、彼が手がけた作品群を絡めて振り返っていく形で進む。演じているのも、ブロードウェイを代表する豪華な出演者たち。シュラー・ヘンズリーが朗々たる歌声で『屋根の上のヴァオリン弾き』を歌えば、『CHICAGO』で来日経験もあるトニー・ヤズベックは迫力のタップダンスで魅せる。ジョシュ・グリセッティは『キャバレー』のMCを飄々と演じる。そして圧巻はやはり、現在『オペラ座の怪人』にクリスティーヌ役で出演中の新星ケイリー・アン・ヴォーヒーズと、伝説のファントム役者ラミン・カリムルーの同作のシーン! 数曲の短いシーンながら、怪しく哀しいパリ・オペラ座の地下湖の世界がふたりから立ち上がる。ほか、ラミンのスーパーマン姿など、ここでしか観られなさそうな意外なシーンもふんだんにあり、笑ったり、うっとりしたり、観る側は嬉しい悲鳴だ。

さらに日本から唯一出演している元宝塚トップスター・柚希礼音も、『くたばれ!ヤンキース』のナンバーなどをコケティッシュに披露。歌もダンスもブロードウェイのトップランナーたちに引けを取らず、日本代表として堂々たるパフォーマンス。もともとダンスの名手として知られるが、彼女のポテンシャルの高さも改めて感じる公演になりそうだ。

途中、あるシーンで舞台袖にあたる部分に目をやると、上述のスターたちがコーラスを担当していた。ブロードウェイの第一線で活躍する彼らが、コーラスも担当するなんて、なんと豪華な公演か。ブロードウェイも羨むに違いないこの公演、東京・東急シアターオーブにて10月23日(金)に開幕。東京公演は11月22日(日)まで。その後11月28日(土)から12月10日(木)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールで上演される。ぴあ貸切公演では来場者全員に、柚希礼音生写真をプレゼント。