(画像左から)中島早貴、矢島弘一

ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』などの脚本を手がけた、矢島弘一が主宰する劇団“東京マハロ”。その最新作『余白を埋める-エリカな人々2019-』が、5月2日(木・祝)、東京・東京芸術劇場シアターイーストで幕を開ける。そこで脚本・演出を担う矢島と、客演の中島早貴に話を聞いた。

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『エリカな人々』とは、松坂世代の男女が織り成す会話劇で、2009年、2014年、2016年と再演を重ねてきた東京マハロの代表作。矢島自身、「自分が世に出たきっかけであり、大事な作品」と位置づける。だが今回はタイトルも改めリライト。後輩の子供の通夜に参列するため、かつての野球部の面々が久しぶりに再会し…というところから物語は始まる。「前回から3年経っているので、やはり今とはすでに時代背景が違うんですよね。松坂世代の登場人物たちは前作だと35歳で、本作では40歳手前。人としても成長していますし、逆に苦しくなっている部分もある。いろいろなことに妥協しているというか、もっと人間臭い感じになったと思います」

その中で中島演じる雫は、松坂世代な登場人物たちとはひと回り以上も下の20歳の女性。矢島が狙うのは、「芯の強さはあるけど周りには軽く見られてしまう、可愛くて天然な女性」だという。だが中島自身は、「グループ(※℃-ute)で活動していた時は気づかなかったんですが、私すごく我が強いみたいなんです。雫としてはもっとほんわかした感じにしないといけないのに、ついグサッとするようなセリフの言い回しをしてしまって…」と、自らの性格と役柄との隔たりに苦戦しているようす。

しかし中島が劇団公演に参加するのは初とのことで、その魅力にこう声を弾ませる。「今回めちゃくちゃ勉強になるなと思っていて。経験豊富な劇団員さんばかりなので、たくさん皆さんとお話したいですね! あと作品としてはすごくナチュラルな会話が続くので、そこに嘘があってはいけないですし、テンポ感や自然なやり取りなどを学んでいけたらなと思います」

昨年から7人の劇団員が新加入し、一気に劇団力を増した東京マハロ。矢島は「僕はこのメンバーと家族をつくったと思っていますし、ずっと共に歩んでいきたいと思っています。だからこそ作品づくりに対してはよりドライに、いいものをつくるということに徹底していきたいなと。その点、今回もゴールデンウィークの休日を使って観に来てもらっても、決して恥じない作品になっていると思います」と、自信をのぞかせた。

『余白を埋める-エリカな人々2019-』は5月2日(木・祝)から6日(月・祝)まで、東京・東京芸術劇場シアターイーストにて。

取材・文:野上瑠美子