アメリカのメジャーネットワークCBSが、ケイト・ブランシェットとロバート・レッドフォードが主演する『Truth』のTVスポットを流すことを拒絶したことがわかった。

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先月のトロント映画祭でプレミア上映され、先週末北米公開された『Truth』は、CBSの報道番組『60 Minutes』で実際に起きた出来事を描くもの。

ジョージ・W・ブッシュ氏の再選に向けての選挙前に『60 Minutes』は、ブッシュ氏の軍歴詐称についての報道を流したが、後にそこで証拠として使われた手紙が偽物であることがわかり、人気キャスターのダン・ラサー(レッドフォード)とプロデューサーのメアリー・メイプス(ブランシェット)は、辞職を余儀なくされた。映画は、メイプスのメモワールにもとづいている。

北米配給権をもつソニー・ピクチャーズ・クラシックスは、『60 Minutes』を含むいくつかのCBSの報道番組でスポットを打とうとしたが、CBSは、「この映画には真実がほとんど含まれていない。これは、ジャーナリズムの間違いを英雄的行動に置き換えるもので、一般に対しても、ジャーナリストに対しても良くない」とコメントしている。一方、映画のプロデューサーは、「報道番組をもつテレビ局が、メディアについての映画を阻止しようとするのは皮肉だ」と語っている。

文:猿渡由紀