エイサーが日本市場に投入するLiquid Z530。ホワイトは日本限定モデル

10月21日、台湾のPCメーカーであるエイサーが、SIMフリースマートフォン(スマホ)の日本市場に参入すると発表した。発表会では同社のスマホをかたどったオリジナルのクッキーを記者に配布する、という力の入れよう。S.T.リュウ スマートプロダクト ビジネスグループプレジデントは、「この2年ほどスマートデバイスビジネスの重点エリアを西欧、中南米、東南アジアとしてきたが、それに今回日本が加わる。日本市場は機が熟した。参入するにあたっては、まさに今、のタイミングだ」と話す。

コンシューマのノートPC市場は、販売台数前年比で2ケタ割れが17か月連続で継続しており、ふるわない。海外勢で2ケタシェアをとっているのはNECと連携するレノボだけ。そのほかのメーカーはアップルを含めて1ケタシェアから脱すことができないでいる。一方、需要の旺盛なSIMフリースマホ市場に目を向ければ、スマホに占める販売台数構成比は徐々に拡大し1割を突破した。日本のスマホメーカーがキャリアとの連携を重視する一方で、PCがだめならスマホでと、中国、台湾、韓国を中心とした各メーカーが次々と参入する狙いは十分理解できる。

SIMフリースマホでは、台湾メーカーのASUSが昨年秋に参入し、LGやファーウェイとともに市場を活性化させた。今年に入って、フランスのTCLコミュニケーションテクノロジー、台湾のHTCも本格参入を発表しており、あとはレノボの参入を待つばかり、という状況だ。今回、Liquid Z530でSIMフリースマホ市場に参入したエイサーの特徴は、PCとの連携だ。AcerEXTEND機能でWindows PCの画面上にスマホの画面をそのまま同期させてファイルの転送や共有を可能にする。シームレスにデバイスを使い分けられるのが特徴だ。

個人の情報機器の主役がPCからスマホへとシフトするなかで、これまでPCが担ってきた役割をスマホが代替するようになってきた。しかし、PCは依然として情報生産には不可欠なデバイスであることには違いない。PCとスマホを自由に行き来できるシームレスなプラットフォームの普及が急務だ。比較的自由な参入が可能なSIMフリースマホから、シームレス化が加速しそうだ。(BCN 道越一郎)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます